Devil†Story
(馬鹿な!?)
ヤナは今目の前で起きた事が俄かには信じられないでいた。右手を抜こうとしたがクロムの力強くて抜けない。
なんでだ!?こいつはパワータイプじゃない。それが証拠にさっきまで優勢だった。吸血した時も斬り合っていた時も俺の力に苦戦して、その度になんとか抵抗していた筈だ。なのに今はただ手首を掴まれただけで折られている。…大体、この俺が人間ごときに手首を折られただと!?俺は奴を見た。奴の目はさっきより暗く闇が深い。これが…人間の目か…?悪魔と契約してるから他の人間と違うにしてもただの下等生物のはずだろ…!
「………ククッ」
クロムは手首から流れ出ている血液を見て嬉しそうに笑っている。なんだよ…この笑い方は…。こんな笑い方するなんて…人間なんて可愛いもんじゃない。まるで"あいつ"と一緒だ。まさか…こいつを連れて来いって言う理由って………。
ヤナがクロムの中に孕んでいる狂気の片鱗を垣間見た瞬間。クロムはヤナの手を掴んだまま剣を振り上げた。
ーーしまった!!
ヤナがそれに気づいた時には既に手遅れであった。
ズシャァ!!
「ッ……!!!」
肩から腹にかけて切りつけられた。さっきのとは違ってかなり深い。しかし、それだけで終わりでなかった。折れた手首を捻り上げ、痛みで思わずよろけたヤナを引っ張り腹部に剣を突き刺してきた。
「グハッ…!!」
剣が体を貫通し、口から血液を吐き出すヤナをもろともせず、何度も刺し始めた。その度に飛び散る血を見てクロムは更に笑みを溢していた。
馬鹿…な…!俺が……人間ごときに……こんな奴に…………!
刺される度に衝撃を感じ、意識が飛びそうになる中、ヤナはそう思っていた。突然クロムがヤナの手を離した。突然支えがなくなり後ろによろけたヤナだったが、追い討ちをかけるようにその腹部を思い切り蹴り上げた。
「ガハッ…!!ゲホッゲホッ…!」
さっきまでの蹴りとは違いかなりの衝撃だった。その衝撃が腹部を襲い、血と一緒に胃液を吐き出した。それでも何度も蹴られ倒れ込んだが、構わずに蹴り続けられた。
クソっ…!!本当になんなんだよ…!さっきと全然違うじゃんか…!!
横腹を蹴られ息もまともに出来ない状態の中、ヤナは思い切りクロムを睨みつけた。
「……!!」
クロムの表情を見て全身に寒気に近いものが襲ってきた。口を吊り上げ、恍惚とした表情を浮かべて笑っていたからだ。目は大きく見開かれているのにも関わらず楽しそうなのが分かる程、その笑顔には狂気を纏ってきた。
冗談じゃない…!この俺が人間相手に寒気を感じるなんて…!!化け物かよ…!!
「グッ…!」
頭を踏みつけられる。眼鏡にヒビが入り牙で口内を切ってしまった。息を整えようとヤナが大きく呼吸をしたが今度は左肩を剣で突き刺してきた。呻き声が上がり僅かに体が震え始めたヤナをクロムは見つめていた。あちこちから大量に出血しているヤナを見て笑う。クロムは血の温かさだけのみを感じている状態であった。ヤナに攻撃している間、自分でも驚いていた。自分が手の力だけで人の…魔物の手首を折るなんて。体が自分の物でない様な感覚だった。でも、そんなのどうだって良かった。
血が見れれば……。
ーードクン…ドクン
胸が大きく鳴る度に段々、普段の自分とは違う“自分”が出て来ている気がした。それでも気にせず、求める物の為に奴を刻み続けた。これ程の高揚感はいつぶりだろうか。ヤナの苦痛に満ちた表情、命を削る感触…何より飛び散る血液に思わず溜め息が出る程興奮していた。吊り上がる口角を抑えられない。
「ククッ……全部やり返されて…どんな気持ちだ?」
完全に意識がないわけではないクロムは頭を踏みつけているヤナに問い掛けた。
「ッ…!!」
「声も出ない程…死を感じてるのか?」
クロムのその言葉にプライドがズタズタになっているヤナは鋭い眼光を向けた。
「調子に…のるなよ…!クソ人間がっ…!!」
ジャケットに仕込んでいた投擲用のナイフをクロムの足に思い切り突き立てた。痛みでは動かない事は想定内だった為、衝撃で力が緩んだのを見逃さずに体を持ち上げ、足が外れた隙に立ち上がって距離を取った。
「グッ…!」
クロムから受けたダメージは深く、立っているのもやっとであった。
ヤナは今目の前で起きた事が俄かには信じられないでいた。右手を抜こうとしたがクロムの力強くて抜けない。
なんでだ!?こいつはパワータイプじゃない。それが証拠にさっきまで優勢だった。吸血した時も斬り合っていた時も俺の力に苦戦して、その度になんとか抵抗していた筈だ。なのに今はただ手首を掴まれただけで折られている。…大体、この俺が人間ごときに手首を折られただと!?俺は奴を見た。奴の目はさっきより暗く闇が深い。これが…人間の目か…?悪魔と契約してるから他の人間と違うにしてもただの下等生物のはずだろ…!
「………ククッ」
クロムは手首から流れ出ている血液を見て嬉しそうに笑っている。なんだよ…この笑い方は…。こんな笑い方するなんて…人間なんて可愛いもんじゃない。まるで"あいつ"と一緒だ。まさか…こいつを連れて来いって言う理由って………。
ヤナがクロムの中に孕んでいる狂気の片鱗を垣間見た瞬間。クロムはヤナの手を掴んだまま剣を振り上げた。
ーーしまった!!
ヤナがそれに気づいた時には既に手遅れであった。
ズシャァ!!
「ッ……!!!」
肩から腹にかけて切りつけられた。さっきのとは違ってかなり深い。しかし、それだけで終わりでなかった。折れた手首を捻り上げ、痛みで思わずよろけたヤナを引っ張り腹部に剣を突き刺してきた。
「グハッ…!!」
剣が体を貫通し、口から血液を吐き出すヤナをもろともせず、何度も刺し始めた。その度に飛び散る血を見てクロムは更に笑みを溢していた。
馬鹿…な…!俺が……人間ごときに……こんな奴に…………!
刺される度に衝撃を感じ、意識が飛びそうになる中、ヤナはそう思っていた。突然クロムがヤナの手を離した。突然支えがなくなり後ろによろけたヤナだったが、追い討ちをかけるようにその腹部を思い切り蹴り上げた。
「ガハッ…!!ゲホッゲホッ…!」
さっきまでの蹴りとは違いかなりの衝撃だった。その衝撃が腹部を襲い、血と一緒に胃液を吐き出した。それでも何度も蹴られ倒れ込んだが、構わずに蹴り続けられた。
クソっ…!!本当になんなんだよ…!さっきと全然違うじゃんか…!!
横腹を蹴られ息もまともに出来ない状態の中、ヤナは思い切りクロムを睨みつけた。
「……!!」
クロムの表情を見て全身に寒気に近いものが襲ってきた。口を吊り上げ、恍惚とした表情を浮かべて笑っていたからだ。目は大きく見開かれているのにも関わらず楽しそうなのが分かる程、その笑顔には狂気を纏ってきた。
冗談じゃない…!この俺が人間相手に寒気を感じるなんて…!!化け物かよ…!!
「グッ…!」
頭を踏みつけられる。眼鏡にヒビが入り牙で口内を切ってしまった。息を整えようとヤナが大きく呼吸をしたが今度は左肩を剣で突き刺してきた。呻き声が上がり僅かに体が震え始めたヤナをクロムは見つめていた。あちこちから大量に出血しているヤナを見て笑う。クロムは血の温かさだけのみを感じている状態であった。ヤナに攻撃している間、自分でも驚いていた。自分が手の力だけで人の…魔物の手首を折るなんて。体が自分の物でない様な感覚だった。でも、そんなのどうだって良かった。
血が見れれば……。
ーードクン…ドクン
胸が大きく鳴る度に段々、普段の自分とは違う“自分”が出て来ている気がした。それでも気にせず、求める物の為に奴を刻み続けた。これ程の高揚感はいつぶりだろうか。ヤナの苦痛に満ちた表情、命を削る感触…何より飛び散る血液に思わず溜め息が出る程興奮していた。吊り上がる口角を抑えられない。
「ククッ……全部やり返されて…どんな気持ちだ?」
完全に意識がないわけではないクロムは頭を踏みつけているヤナに問い掛けた。
「ッ…!!」
「声も出ない程…死を感じてるのか?」
クロムのその言葉にプライドがズタズタになっているヤナは鋭い眼光を向けた。
「調子に…のるなよ…!クソ人間がっ…!!」
ジャケットに仕込んでいた投擲用のナイフをクロムの足に思い切り突き立てた。痛みでは動かない事は想定内だった為、衝撃で力が緩んだのを見逃さずに体を持ち上げ、足が外れた隙に立ち上がって距離を取った。
「グッ…!」
クロムから受けたダメージは深く、立っているのもやっとであった。