Devil†Story
―麗弥 Side―

体が…いや、心が痛い。

考えないようにしていても、やはり自責の思いが頭から離れない。

戦いの中で考え事は死を招くことくらい分かっている。

だから…今は全力でこいつを倒さなきゃいけないんだ。

麗弥はキッと醜鬼を睨み付け、戦い続ける。

そして……

麗「うわあぁぁぁ!!」

醜「ッ…!」

醜鬼を殴り付けた。

ドンッと醜鬼が壁に叩きつけられ、座り込んだ。

麗「ハァ…ハァ…」

麗弥は無言で、醜鬼に銃を向けた。

醜「ククク…さっきのが堪えたなァ…。まァ、いいさ…。殺せよ、麗弥」

皮肉にも笑いながら、醜鬼は言った。

こいつは…両親を殺した。
それも、自分の欲求の為に……。

だけど……。

澪奈達が見守る中、麗弥はハッキリと答えた。

麗「……殺しはしない。てめえは、警察に付き出す」
そんな麗弥の言葉を聞いた醜鬼は馬鹿にしたように言い返した。

醜「ハッ!馬鹿かよ、お前!俺様は、てめえの両親を殺した敵だぜェ?殺さなくてどーすんだよ!?」

麗「……あぁ。殺したい程…憎いよ、てめえのことは」

稀「麗弥……」

麗弥の複雑な気持ちが痛い程、伝わってきた。

麗「だが…最初に言っただろ。てめえと同じにはならないって。てめえが、今から受けるのは社会的罰だ。てめえの罰は理不尽な法律に決めて貰う。例え死刑だとしても、その間…考える時間がある。その中で…自分がやった“罪”を改めて貰う。…それが、俺の…いや、俺達の“願い”だ」

澪「レイ…ちゃん…」

その麗弥の言葉に醜鬼は暫く唖然としていたが、やがて高笑いし始めた。

醜「プッ…アハハハハハハッ!本ッ当、馬鹿だな、てめえは。殺さないで、気持ちが治まるものなのかよ?えェ?」

麗「…少なくとも…母さんと父さん…姉さんはそれを望んでいる。命は儚いものだ。そして、てめえのその腐った人格も1つしかねぇ。殺して…終わらせるのは簡単だが、それじゃ意味ないからな」

ゆっくりと麗弥は男に言った。

その言葉に、ククッと笑ったかと思った時、醜鬼は自分に向いていた銃を掴み引き寄せた。
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