Devil†Story
今…なんて言った……?


抱き締められたのですら、驚いたのに澪奈の言葉に更に驚く。

―自慢の弟だよ―

俺…が……?

傷付けたのに…?姉さんの思いを裏切ったのに…?

そんな俺を許して…くれるのか……?

驚きのあまり、暫くの間、目を大きくさせていた麗弥だったが、やがて……。

麗「うっ……」

麗弥の目からも、透明な雫が落ちた。

それを肩で感じた澪奈は更に優しく抱き締める。

澪「大好きだよ、レイちゃん…。本当にありがとう」

その言葉に一気に心が軽くなった。

恨んでなんかなかった。

蔑んでなんかなかった。

姉さんは俺を大切に思ってくれてたんだ…本当は罪で汚れているのを知っても…変わらずに俺を思ってくれてたんだ。

その事実に涙が止まらなかった。

本当は怖かったんだ。

姉さんに嫌われて、捨てられるのが。

ずっと、ずっと怖かったんだ。

その笑顔を消してしまうんじゃないかと。

麗「うっ……ッ…姉……さん……」

そんなことはなかったと知った麗弥はただ泣き続けた。

澪奈のワンピースをギュッと握りしめながら。

そんな麗弥を澪奈はただ優しく抱き締めていた。
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