Devil†Story
―クロム Side―

奴を切ろうと剣を振り上げた瞬間、誰かの声が聞こえた。

そして、奴と俺の間に誰かが入ってきた。

ク「あっ?…女?」

目の前に居たのは、黒のそんなに短くないワンピースに、ウェストに赤い宝石が埋め込まれた赤いリボンをしている、髪が長い恐らく同じくらいの年の女だ。

ヤナと同じ、黒髪の金目だった。

女はヤナを守る様に手を広げていたが俺に怯えているようで、体が振るえている。

?「お…お願いします…!ヤ…ヤナに手を出さないで下さい…!」

やはり、女は怯えているようだ。声が振るえている。
?「バッ、お前…!策もねーのに…!」

何処からか男の声がした。

よく見てみると、女の体に蛇が居た。そいつが話しているのだろう。

?「だっ、だって、ヘル…!」

ヘ「だから、言っただろ!?闇雲に飛びなすなって!」

ヘルと呼ばれた蛇が女を怒鳴り付ける。

ヤ「ク…クローディア!なんで、ここに…!」

ヤナは驚いたように女に言った。

クローディアと呼ばれた女はヤナの方を見た。

クロ「ヤ…ヤナ…!良かった…!」

ヤ「なんでここに…!?」

クロ「…私、もう耐えられないよ…。ヤナが傷付くなんて…」


女は涙目でヤナに言った。

ヤ「…何、言ってんの?クローディアには、関係ない仕事のこと――「嘘」」

ヤナの言葉に女は被せて言った。

クロ「私、知ってるんだよ…?ヤナが私の為に戦ってるって」

ヤ「!」

ヘ「バッ…!バカ、お前それは…」

クロ「良いの、ヘル。…ヤナ。私、ずっと前から知ってたんだよ…?…私に“呪い”がかけられてて…ヤナはあの人の言うことを聞かされてるんでしょ?」

ヤ「! なんで、それを……」

クロ「…ある時ヘルがね、ヤナとあの人との会話を散歩で通った時に聞いたの」

ヤナはヘルと呼ばれた蛇を見た。すると、蛇は「…悪い。言うつもりなんかなかったけど…」と罰の悪い顔(正確には気配)をしながら言った。

クロ「もうやだよ…。ヤナが傷付くの…。これだって…こんなに飲んじゃ駄目なのに飲んで……」

さっきの小瓶を手に取りながら、女は今にも泣きそうな顔で言った。

クロ「…ヤナが居なくなったら……私は耐えられない…よ…」

ツゥと涙が頬を伝った。

ヤ「クロー…ディア……」
こんなに感情を出したこいつの姿は初めて見た。それ程、この女はこいつに取って大切なのだろう。

……じゃなくて。

意味が分からない。いきなりなんなんだ、この展開。

ク「……はっ?いきなり出てきたと思ったら…意味の分からないことを言いやがって。何なんだ?」

俺の存在を忘れていたのか、ヤナはハッとしたように俺を見た。

ヤ「こ…この子は関係ない!殺すなら俺だけを殺せ!」

血塗れの体で意気がる眼鏡。
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