Devil†Story
クロ「そんなっ…!ヤナ!」

ヤ「良いか、この子に指一本でも触れてみろ…死んでも、お前を許さないぞ…!」

ガタガタと、薬のせいなのか体を振るわせた奴はキッと俺を睨み付ける。

怖くもなんともない、ただの負け犬にしか見えない。

ク「…別に、こいつが何もしなかったら何もしねーよ。まぁ、てめえはこれ以上来られるのは面倒だからな…見逃しはしない」

俺の言葉に女は涙目で俺を見る。

だが、そんなの知ったことじゃない。この眼鏡は殺す。ただそれだけだ。

クロ「やっ、やめてください…!ヤナは…ヤナは仕方がなく貴方を…」

ク「知るか、んなこと。これ以上面倒を増やしたくねーんだよ」

俺の言葉にヤナは安心したのか、口を緩ませた。

ヤ「それなら良い…。…クローディア…ありがとう。君は幸せに…なってな?」
クロ「ヤナ!?」

女は驚いたように眼鏡を見た。奴は黙ったまま女に微笑みかけた。

俺が死ねば、きっと契約は破棄だ。

あいつに取って必要なかったら…解放されるだろう。

それなら、良い。クローディアが解放されるなら…俺に悔いなんてない。

そう思い、目を瞑った瞬間…

クロ「…いや!」

ヤ「!?」

クロ「ヤナが居ない世界で幸せになんかなれない!」
ヤ「クローディア、頼むから…」

クロ「嫌だよ…!私…もう、ヤナの背中に守られて、嘆くのは嫌なの…!」

ヘ「クローディア…」

女はそう言うとまた手を広げて俺の前に立ちはだかった。

クロ「ヤナを…傷付けないで…!」

ヤ「やっ、やめるんだ、クローディア!ヘル!クローディアを止めろ…!」

蛇は最初、驚いたようにしていたが、やがてキッと俺を睨み付けた(多分)。

ヘ「や、やい、この悪魔紛い野郎!これ以上、ヤナに手を出すんじゃねぇ!こいつが死んだら俺の家族は泣くんだ!」

クロ「ヘル…!」

女が蛇を見ると、蛇は笑った(これまた多分)。

ヤ「ヘっ…ヘル!お前まで何、言って…」

和やかな空気。互いが互いを守り合っている。

ク「………」

…くだらねぇ。

冷ややかに女と蛇を見ると、二人(?)とも怯えたような顔をした。

俺の殺気を感じたのか、ヤナは叫んだ。

ヤ「駄目だ、下がれ二人とも…!こいつは…そんな言葉でほどかされる程…甘い奴じゃない!」

女を守ろうと、前に身を乗り出した瞬間…

――ドックン!

ヤ「グゥッ…!」

胸に強い苦しみを感じた。
クソッ…!こんな時に…!
クロ「ヤナ!」

ヤナの異変に女は駆け寄る。
< 344 / 539 >

この作品をシェア

pagetop