Devil†Story
ク「…どけ、女。でないと…てめえも殺すぞ」

冷たい目が、クローディアを捉えた。その目の冷たさにクローディアの背中に寒いものが走った。

氷のようだ…と、クローディアは感じた。

その目からは何も感じない。

この人に何があったのだろう?なんで、この人はこんなにも心を閉ざしているのだろう?

恐怖しか感じない、その目を見ながらクローディアはそう思っていた。

――冗談じゃねぇぞ。

クローディアがそう思っていた時、ヘルはそう思っていた。

これが人間の目かよ…?マジで悪魔みたいじゃねぇかよ…!

人を殺すのに、なんの躊躇もねぇ。

心は何処にいっちまったんだよ…!?

なんなんだよ、この化物染みた殺気は…!

そう考えていた。

クローディアはクロムの言葉に一瞬、たじろいたが…
クロ「嫌…です」

と、きっぱり答えた。さっきの目とは違う力強い目だった。

…その目は嫌いだ。すぐに壊してやりたくなる。

俺は鼻で笑って言った。

ク「…ハッ、よっぽど死にてぇみたいだな。くだらねぇ。愛ってやつか?だったら…お望み通り…二人いっぺんにあの世に送ってやるよ」

ニヤリッと笑ったクロムは剣を振り上げるが、クローディアはそこから退こうとしない。

ヤ「やっ…やめろ…!クローディアに…手を出すな…!」

途切れ、途切れにそう言うヤナだったが、クロムは剣を降り下ろした。

ヘ「ディア!」

ヤ「クローディアッ!!」

ヘルとヤナの声が響いた。

――あぁ、私、死ぬのね…。

クローディアがそう思い、目を瞑った時だった。

――「危ない、○○○!」
クロムの頭の中に映像が流れた。

ク「――ッ!!」

ドカァン!

クロ「…!」

轟音が響き、クローディアは恐る恐る目を開けた。

すぐ横に、剣が突き刺さっている。


助…かった…?

クローディアはクロムを見た。

クロムは目を見開いて、息を切らしている。

クロ「…!」

そのすぐ後に、クローディアは引き寄せられた。

ヘ「ヤナ!」

ヤ「や…めろ…!さっきも…言っただろ…うが…。クローディアに…指一本触れさせない……!」

ゼェ、ゼェと息を切らし、口から血を吐き出しながらヤナはクローディアの前に出た。

クロ「ヤナっ…!」

クローディアは泣きそうな顔で、ヤナの肩を掴んでいた。

ク「………」

クロムは、そのまま動かずにヤナ達を見た。


その時――

「おーい、終わったかー?」

「!?」

後ろから声がした。

クロムが、後ろを見るとそこにはロスが居た。
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