Devil†Story
ク「…おせーよ、ロス」

チン…と剣を鞘に納めながら、クロムは悪態をついた。

嘘…だろ?

ここで、悪魔なんて…!

ヤ「あ…悪魔…っ!」

クロ「…!」

ヘ「なっ…!こ…こいつ…!ただの…悪魔じゃねぇ…!」

ロスが来た途端、3人は身構えた。

クローディアに至ってはガタガタと先程、クロムの前に居た時と同じぐらい震えていた。

ロ「んー?アレ?珍しいなー、吸血鬼の女の子なんて。大体の吸血鬼は女の子を村から出さないからなー。てか、何故、女の子がここに?」

ク「知らねーよ。なんか、この女に呪いが……」

ヤナ達を忘れているかのように、クロム達は話をしていた。

冗談じゃないぞ…!

さっきは首の“コレ”のせいで、分からなかったが…なんだよ、この魔力…!

ただの、そこらへんに居る悪魔なんかじゃない…!

こいつは…かなり“上”の悪魔だ!

クロム1人でも、今の体じゃキツイってのに…こんな上の悪魔まで来るなんて…絶望的だ…!

でも…せめてクローディアが逃げるまで…持たせねぇと…!

ヤナはそう思い、震えて言うことが聞かない体を無理矢理動かした。

しかし、やはり言うことを聞かず、よろけてしまう。
クロ「ヤナっ…!」

クローディアが労るように、背中を擦った。

ロ「…ふーん。にゃるほど」

クロムの話を聞いたロスがクローディアを見た。

クロ「…!」

その紅い目にクローディアは動けなくなっていた。

クロムとは違う、何も見えない目。

底の見えない闇を見ている様なそんな恐怖を感じていた。

次の瞬間、ロスはスッと一瞬でクローディアの後ろに行った。

クロ「! きゃあ!」

そして、クローディアの体を持ち上げた。

ヤ「クローディア!!」

ヤナが体を起こそうとした瞬間、クロムが剣を向けた。

ク「おっと。邪魔すんなよ、眼鏡」

ヤ「クッ…!退け…!」

ク「うるせーな。黙って見てろ」

クロムが冷たく言い放った。

ヘ「ディア!!野郎――」
ヤナの代わりにヘルがクローディアの方に行こうとした瞬間、クロムにその体を剣を持っていない方の手で掴まれた。

ヘ「!はっ…離せ!紅目野郎!」

ク「てめえも黙って見てろよ。蛇」

ヘ「この!」

ガブッとヘルがクロムの指に噛み付いた。

ヘ「はなへっていっへるんら(離せっつってんだ)――」

ク「………」

冷たい目で、ヘルを見るクロム。

ヘ「ッ…!」

俺、やっちまったかも…!

これは完全に死亡フラグ…!

恐る恐る、口を離すがクロムは相変わらず冷たい目でヘルを見ている。

ヘルはみるみる内に小さくなっていった。
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