Devil†Story
ク「………」


ロ「おーい、いきなりどーした?」


ロスが無言で歩くクロムに話し掛ける。


ク「…別に。処分、聞いたし…ダルいから寝ようと思って――」


クロムがそう言った時だった。


「クロムくん、ロスくん」
「?」


2人が後ろを振り返ると澪奈がそこに居た。
慌てて追いかけてきたのであろう息が乱れていた。

澪「2人共…本当にありがとう」


そう言うと澪奈は頭を下げた。


ロ「いえいえ〜。俺等は何もしてないから」


澪「例えそうだとしても…お礼がしたかったの」


そう笑う澪奈にロスは「そっか」と笑った。


澪「正直…初めは少し怖かったの。レイちゃんや…クロムくん達がそんな仕事してるってことが。でも…そんなことなかった。貴方達は私達の家族を殺した人とは違うって分かったから」


ニコリと笑いながら、澪奈はクロムを見た。


ク「クロムくん達も何かがあってしてるんだよね。そして…クロムくん達が居たから今、あの子はあんなに明るく生きていけてると思うの。だから…おこがましいけど…これからも麗弥をお願いします」


また頭を下げる澪奈にロスは「いつもどーりで良いんならいつでも♪」と答えた。その言葉に澪奈はまた笑った。


澪「じゃあ…また。ゆっくり休んで下さいね」


ニコリと笑った澪奈はそう言って部屋に戻って行った。クロム達も部屋に向かう。


ロ「“何かあったから”…ねぇ。そりゃあ、何かなかったらこんな事しないよな」


ク「…そんなことどーでもいいんだが」


面倒くさそうに答えるクロムに何故かロスは少し嬉しそうにしつつ話を続けた。


ロ「あーそうそう。そーいえばさーちょいと前に話しただろ?」


ク「何をだ?」


部屋に向かって歩きながらロスは人差し指を立てる。


ロ「ほら〜お前の殺し方について…」

ク「あぁ…。麗弥が書斎に来たのが珍しいと思ったら俺の調査の為だった時だろ」


ロ「そーそー。それでもう“大丈夫”?」


ロスがそう聞くとクロムは鼻で笑いながら言い返した。


ク「大丈夫も何も白々しいな。お前が“暫くの間なるべく血を浴びろ”なんて言うから面倒だったけどやったんだろ」


ロ「…だよなぁ」


ク「当たり前だろ。死体刻む趣味はねぇよ。死ぬまでは痛ぶるけど」


ロ「悪趣味〜。…ん?でも麗弥のお姉さんが来る前日のは?アレ1番酷かったじゃん」


「俺いなかったから分からないけど」と言うと、いつもより眉間にしわを寄せながら嫌そうに話した。


ク「あぁ…。アイツは俺にムカつくようなことを連発した上に……あろうことかこの俺に向かって……部屋で飼ってやがった…虫ケラ共のかごを投げつけて来やがったからあぁでもしねぇと気が治まらなかったんだ」


その時の事を思い出したのか腕を擦りながら「しかも中から出てきて俺のコートに引っ付きやがった…!」と苛々しながら答えた。
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