Devil†Story
「ひっ…」
剣を突きつけた奴の喉がひくりと鳴った。それもそのはずだ。剣の刃が軽く喉に当たっている。その僅かな接触にも関わらずチクリとした鋭い痛みを感じ、流血しているのが分かる。相当な切れ味だ。もし少しでも動かされれば死ぬことを物語っている
「てめぇらがこんな時間に来るから……お陰で俺は寝不足なんだよ。単刀直入に聞く。誰の命令だ?」
「……ッ」
気怠そうに問いかけるも口を固く閉じて黙秘を選択していることは明白であった。組織に雇われている身としては懸命な判断である。しかしその行動はクロムの神経を逆撫でした。
「…下手な時間稼ぎしたんじゃねぇよ。10秒以内に答えねぇとこの喉…かっきるぞ」
「なっ…」
時間稼ぎというワードに思わず驚く。今まさに仲間の1人が応援を呼ぼうと非常用のボタンを押そうとしていたところだった。
「10…9……」
クロムがカウントダウンを始めた。脅しではなさそうな雰囲気に非常ボタンに力を込めて押そうとした瞬間だった。
「なーに持ってるのー?」
「ひっ!?」
いつの間にか後ろに回り込んでいたロスは楽しげに怯える男を見て笑っていた。しゃがんで手に頬をつけ一見可愛い仕草をしているが月明かりに照らされて紅い瞳が怪しく光っている。明らかに友好的な雰囲気ではない。
「教えてよ。何を持ってんのー?」
ボタンに手をかけたまま動けない男に「……そう。こんなにお願いしてるのに教えてくれないんだ?じゃあーー」と先程までの笑顔がなくなり立ち上がって足を上げる。
「!?」
足を最大まで上げたロスは再び嗤う。…その笑顔は先程に比べ狂気が含まれていた。男が「マズイ!」と思い動こうとした。
ーーバキッ!
「うっ…あああぁぁ!?」
それよりも先にロスが上げていた足が握り締めていたボタンごと踏みつけた方が早かった。ボタンが壊れる音と骨が折れる音が部屋の中に大きく響いた。
「…おしおきしないとな?」
痛みに悶えている男の横に再びしゃがみながら「なぁ痛い?痛い?痛いよな?」とケラケラ笑いながら楽しげに話すロス。どう見ても"普通"ではない。
「ひっ…こ、こいつ何の躊躇もなく…!」
「8…7…6…」
「!?」
ロスの攻撃にも驚いたが変わらず聞こえてきたカウントダウンに残りの2人は驚愕する。耳を塞ぎたくなるような悲鳴が上がったのにも関わらずカウントダウンを続けていたからだ。
「こ、こいつらヤバい…!!」
明らかに異常な光景に言葉を失う。この少年2人には勝てないと本能が警告していた。
「5…4…3…2…1……」
「ちょっ…!ちょっと待て…!」
剣を突き付けられていた男も呆気に取られてロスの行動を見ていたことにより自分の死へのカウントがないことに気付き慌てて声を掛けた。しかし…それに気付くのが遅過ぎたようだ。
「…0」
スッ…
「えっ…」
剣が引き上げられるのと同時にそこに紅い線が刻まれた。ぷつり、ぷつりと血が傷口から水滴を作っていく。
「タイムオーバーだ」
ーーブシュッ
クロムが言い終わるのと同時にその傷跡からスプリンクラーの様に鮮血が吹き出した。頸動脈を綺麗に切断されていたからだろう。勢いよく吹き出している血液が家具に雨のように降り注ぎ紅く染め上げていった。
「あーあ、これはクリーニングが大変だな」
呑気にその惨状を見ながら呟くロスに2人の男の恐怖は最高潮に達した。
「ヒッ…!!うわぁぁ!」
玄関に向かって走り出す。もう少しでドアノブに手がかかるというところだった。
剣を突きつけた奴の喉がひくりと鳴った。それもそのはずだ。剣の刃が軽く喉に当たっている。その僅かな接触にも関わらずチクリとした鋭い痛みを感じ、流血しているのが分かる。相当な切れ味だ。もし少しでも動かされれば死ぬことを物語っている
「てめぇらがこんな時間に来るから……お陰で俺は寝不足なんだよ。単刀直入に聞く。誰の命令だ?」
「……ッ」
気怠そうに問いかけるも口を固く閉じて黙秘を選択していることは明白であった。組織に雇われている身としては懸命な判断である。しかしその行動はクロムの神経を逆撫でした。
「…下手な時間稼ぎしたんじゃねぇよ。10秒以内に答えねぇとこの喉…かっきるぞ」
「なっ…」
時間稼ぎというワードに思わず驚く。今まさに仲間の1人が応援を呼ぼうと非常用のボタンを押そうとしていたところだった。
「10…9……」
クロムがカウントダウンを始めた。脅しではなさそうな雰囲気に非常ボタンに力を込めて押そうとした瞬間だった。
「なーに持ってるのー?」
「ひっ!?」
いつの間にか後ろに回り込んでいたロスは楽しげに怯える男を見て笑っていた。しゃがんで手に頬をつけ一見可愛い仕草をしているが月明かりに照らされて紅い瞳が怪しく光っている。明らかに友好的な雰囲気ではない。
「教えてよ。何を持ってんのー?」
ボタンに手をかけたまま動けない男に「……そう。こんなにお願いしてるのに教えてくれないんだ?じゃあーー」と先程までの笑顔がなくなり立ち上がって足を上げる。
「!?」
足を最大まで上げたロスは再び嗤う。…その笑顔は先程に比べ狂気が含まれていた。男が「マズイ!」と思い動こうとした。
ーーバキッ!
「うっ…あああぁぁ!?」
それよりも先にロスが上げていた足が握り締めていたボタンごと踏みつけた方が早かった。ボタンが壊れる音と骨が折れる音が部屋の中に大きく響いた。
「…おしおきしないとな?」
痛みに悶えている男の横に再びしゃがみながら「なぁ痛い?痛い?痛いよな?」とケラケラ笑いながら楽しげに話すロス。どう見ても"普通"ではない。
「ひっ…こ、こいつ何の躊躇もなく…!」
「8…7…6…」
「!?」
ロスの攻撃にも驚いたが変わらず聞こえてきたカウントダウンに残りの2人は驚愕する。耳を塞ぎたくなるような悲鳴が上がったのにも関わらずカウントダウンを続けていたからだ。
「こ、こいつらヤバい…!!」
明らかに異常な光景に言葉を失う。この少年2人には勝てないと本能が警告していた。
「5…4…3…2…1……」
「ちょっ…!ちょっと待て…!」
剣を突き付けられていた男も呆気に取られてロスの行動を見ていたことにより自分の死へのカウントがないことに気付き慌てて声を掛けた。しかし…それに気付くのが遅過ぎたようだ。
「…0」
スッ…
「えっ…」
剣が引き上げられるのと同時にそこに紅い線が刻まれた。ぷつり、ぷつりと血が傷口から水滴を作っていく。
「タイムオーバーだ」
ーーブシュッ
クロムが言い終わるのと同時にその傷跡からスプリンクラーの様に鮮血が吹き出した。頸動脈を綺麗に切断されていたからだろう。勢いよく吹き出している血液が家具に雨のように降り注ぎ紅く染め上げていった。
「あーあ、これはクリーニングが大変だな」
呑気にその惨状を見ながら呟くロスに2人の男の恐怖は最高潮に達した。
「ヒッ…!!うわぁぁ!」
玄関に向かって走り出す。もう少しでドアノブに手がかかるというところだった。