Devil†Story
「随分長い廊下だな…」
降りると長い廊下があり、通路になっていた。甘ったるい匂いがより一層広がっていった。
「あー…くせぇ……。あの匂いだ」
鼻を摘みながら嫌そうに悪態をついた。地下なので匂いが溜まりやすいのであろうが、三半規管が弱い人間なら吐き気を催す程の香り充満していた。
「匂い…というか成分が濃くなってるな」
匂いが強い方向に行ってみると部屋があった。静かに扉を開けると強烈な匂いが外へ流れ出てきた。その中には数十人の人間が居た。皆、虚な目をしており口元からよだれを垂らしながらブツブツと何か言っていた。机の前の方にはお香が炊かれており煙幕が漂っている。この煙幕が信者をこのような姿にした原因であった。
「…どいつもこいつも汚ねぇな。今日は厄日かよ」
強い匂いに再びコートで鼻を覆ったクロムが中にいる信者に向かって吐き捨てるように呟いた。
「うぇっ…この部屋からにおってきてたのか…マジ吐きそ……。あれ消してきていい?」
「あいつら汚ねぇぞ。我慢すれば?」
「無理無理無理!あいつらに触んなきゃいいだけだし」
「なら勝手にしろ」
「もう耐えられないわ〜」と大きく息を吸ってから中に入って虚な目をした信者たちの間を通ってお香を消しに行った時だった。
ーーガシッ
「へ?」
コートの裾が引っ張られる感覚がし、後ろを振り返る。掴んで居たのは信者であろう1人だった。濁った目をしておりフラフラしている姿はさながらゾンビのようだった。
「あー…こんばんは?ちょっとあれ消させてもらうだけですよ〜」
「あと、悪いけど汚いから触らないでくれる?」とコートを引っ張ってとる。出来るだけ呼吸を止めていたいロスは早口で話すとニコリと笑った。ここにいる信者は恐らく拉致監禁の被害者であろう。一般人も混ざっている可能性があるので下手に傷つけられない。穏便に済ませたいロスは足早に去ろうとした時だった。
「ウゥゥウウゥ…!」
突然獣が威嚇しているように歯を剥き出しにして襲いかかってきた。
「うわ!ちょっ…たんまたんま!」
慌てて避けるがどう見ても話が通じるような相手ではない。再びゾンビの様にロスに襲いかかってきた。
「重度の薬物中毒者に話なんか通用しないか…。ちょっと痛くするけど勘弁しろよ」
スッと後ろに回り込んでうなじに手刀を繰り出す。手刀が当たるとドサリと倒れ込んだ。
「ビックリしたー…。も〜勘弁してよーー」
溜め息をついて周りを見た瞬間だった。虚な目をした信者が全員ロスの方を見て立ち上がった。
「…マジ?待って待って!先にあれ消させて!」
手のひらを胸の前で左右に振って信者達に声を掛けるも先程同様話が通じるわけがなく…。
「「ウガァアアァァ!」」
獣のような声をあげた信者達は一斉にロスの方に向かって襲いかかってきた。
「待て待て待て!息もたねぇって!おいクロム!加勢しろ!」
周りにいた信者を気絶させ、袖で鼻を覆いながらロスはクロムに助けを求める。
「………」
入り口にいたクロムが信者達を見ると吠えるたびに口からよだれを撒き散らしているのが目に入った。おまけに監禁されていて体の汚れも満足に落としていない。人間の尊厳を無くした本物のゾンビみたいな姿に嫌悪感を抱いた。
「ちょっと聞いてる!?早く来いって!」
「ウエッ」と我慢出来ずに僅かに呼吸をしたのだろう。その匂いにえずくロスを無視してクロムは扉を閉めた。
「あー!?ちょっ!てめぇー!!」
ロスの怒鳴り声を尻目に完全に扉を閉めたクロムは扉から少し離れてから壁に寄りかかり終わるのを待っていた。
ーー5分後。
中で聞こえていた騒音がしなくなった。どうやら信者は全員気絶させることが出来たらしい。扉が勢いよく開けられる。左右に首を動かしてクロムの姿を見つけたロスが怒りながら駆け寄ってきた。
「クロムてめぇー!!逃げやがったな!?」
「ゼーゼー」と部屋から出て大きく呼吸をしたロスがクロムに詰め寄った。
「知らん。てめぇが勝手に消しに行ったんだろ。俺を巻き込むな」
「くせぇんだから仕方ないだろ!」
「で?消せたのかよ?」
「えぇ!おかげさまで!中にあった超でけぇ換気扇もつけてきたからマシになりましたよ!つーか俺が呼吸出来ないのを知ってて普通閉めるか!?」
「言っただろ?あいつら汚ねぇって。唾飛ばしててキモかったし。触れたくなかったんだよ」
目も合わせずに腕を組んでどうでも良さそうに答えるクロムに半笑いで怒る。
「クロムくんには思いやりはねぇのかな〜?」
「ある訳ねぇだろ。てかお前唾着いてるかもしれねぇから寄んな」
「あとくせぇ」とまるで野良猫を追っ払うかのように手で払う仕草にピキッと額に血管が浮き出た。
「もれなく全て避けましたが?人の気も知らねぇで!」
ロスが大きな声を出した時だった。
「なんだ騒がしいぞーー。!?お前らどっから入ってきた!?」
声のする方向に顔を向けると見張りらしい教団員が現れた。
「…てめぇがデカい声出すから来ちまっただろ」
「あーあー!それもこれもどうせ俺のせいですね!…お前ろくな目にあわねぇぞ」
「侵入者だ!応援要請をしろ!」
仲間に指示をした教団員はすぐに持っていたアサルトライフルの銃口を向けて発砲した。音が鳴ると同時に2人はその場から離れる。
「文句言う前にこいつら片すぞ」
鞘から剣を抜いたクロムは駆け出し、撃たれているのも関わらず教団員の方へ突っ込んで行った。
「…てめぇ覚えてろよ」
恨めしそうにクロムの背中を睨みつけロスも後ろに続いた。
降りると長い廊下があり、通路になっていた。甘ったるい匂いがより一層広がっていった。
「あー…くせぇ……。あの匂いだ」
鼻を摘みながら嫌そうに悪態をついた。地下なので匂いが溜まりやすいのであろうが、三半規管が弱い人間なら吐き気を催す程の香り充満していた。
「匂い…というか成分が濃くなってるな」
匂いが強い方向に行ってみると部屋があった。静かに扉を開けると強烈な匂いが外へ流れ出てきた。その中には数十人の人間が居た。皆、虚な目をしており口元からよだれを垂らしながらブツブツと何か言っていた。机の前の方にはお香が炊かれており煙幕が漂っている。この煙幕が信者をこのような姿にした原因であった。
「…どいつもこいつも汚ねぇな。今日は厄日かよ」
強い匂いに再びコートで鼻を覆ったクロムが中にいる信者に向かって吐き捨てるように呟いた。
「うぇっ…この部屋からにおってきてたのか…マジ吐きそ……。あれ消してきていい?」
「あいつら汚ねぇぞ。我慢すれば?」
「無理無理無理!あいつらに触んなきゃいいだけだし」
「なら勝手にしろ」
「もう耐えられないわ〜」と大きく息を吸ってから中に入って虚な目をした信者たちの間を通ってお香を消しに行った時だった。
ーーガシッ
「へ?」
コートの裾が引っ張られる感覚がし、後ろを振り返る。掴んで居たのは信者であろう1人だった。濁った目をしておりフラフラしている姿はさながらゾンビのようだった。
「あー…こんばんは?ちょっとあれ消させてもらうだけですよ〜」
「あと、悪いけど汚いから触らないでくれる?」とコートを引っ張ってとる。出来るだけ呼吸を止めていたいロスは早口で話すとニコリと笑った。ここにいる信者は恐らく拉致監禁の被害者であろう。一般人も混ざっている可能性があるので下手に傷つけられない。穏便に済ませたいロスは足早に去ろうとした時だった。
「ウゥゥウウゥ…!」
突然獣が威嚇しているように歯を剥き出しにして襲いかかってきた。
「うわ!ちょっ…たんまたんま!」
慌てて避けるがどう見ても話が通じるような相手ではない。再びゾンビの様にロスに襲いかかってきた。
「重度の薬物中毒者に話なんか通用しないか…。ちょっと痛くするけど勘弁しろよ」
スッと後ろに回り込んでうなじに手刀を繰り出す。手刀が当たるとドサリと倒れ込んだ。
「ビックリしたー…。も〜勘弁してよーー」
溜め息をついて周りを見た瞬間だった。虚な目をした信者が全員ロスの方を見て立ち上がった。
「…マジ?待って待って!先にあれ消させて!」
手のひらを胸の前で左右に振って信者達に声を掛けるも先程同様話が通じるわけがなく…。
「「ウガァアアァァ!」」
獣のような声をあげた信者達は一斉にロスの方に向かって襲いかかってきた。
「待て待て待て!息もたねぇって!おいクロム!加勢しろ!」
周りにいた信者を気絶させ、袖で鼻を覆いながらロスはクロムに助けを求める。
「………」
入り口にいたクロムが信者達を見ると吠えるたびに口からよだれを撒き散らしているのが目に入った。おまけに監禁されていて体の汚れも満足に落としていない。人間の尊厳を無くした本物のゾンビみたいな姿に嫌悪感を抱いた。
「ちょっと聞いてる!?早く来いって!」
「ウエッ」と我慢出来ずに僅かに呼吸をしたのだろう。その匂いにえずくロスを無視してクロムは扉を閉めた。
「あー!?ちょっ!てめぇー!!」
ロスの怒鳴り声を尻目に完全に扉を閉めたクロムは扉から少し離れてから壁に寄りかかり終わるのを待っていた。
ーー5分後。
中で聞こえていた騒音がしなくなった。どうやら信者は全員気絶させることが出来たらしい。扉が勢いよく開けられる。左右に首を動かしてクロムの姿を見つけたロスが怒りながら駆け寄ってきた。
「クロムてめぇー!!逃げやがったな!?」
「ゼーゼー」と部屋から出て大きく呼吸をしたロスがクロムに詰め寄った。
「知らん。てめぇが勝手に消しに行ったんだろ。俺を巻き込むな」
「くせぇんだから仕方ないだろ!」
「で?消せたのかよ?」
「えぇ!おかげさまで!中にあった超でけぇ換気扇もつけてきたからマシになりましたよ!つーか俺が呼吸出来ないのを知ってて普通閉めるか!?」
「言っただろ?あいつら汚ねぇって。唾飛ばしててキモかったし。触れたくなかったんだよ」
目も合わせずに腕を組んでどうでも良さそうに答えるクロムに半笑いで怒る。
「クロムくんには思いやりはねぇのかな〜?」
「ある訳ねぇだろ。てかお前唾着いてるかもしれねぇから寄んな」
「あとくせぇ」とまるで野良猫を追っ払うかのように手で払う仕草にピキッと額に血管が浮き出た。
「もれなく全て避けましたが?人の気も知らねぇで!」
ロスが大きな声を出した時だった。
「なんだ騒がしいぞーー。!?お前らどっから入ってきた!?」
声のする方向に顔を向けると見張りらしい教団員が現れた。
「…てめぇがデカい声出すから来ちまっただろ」
「あーあー!それもこれもどうせ俺のせいですね!…お前ろくな目にあわねぇぞ」
「侵入者だ!応援要請をしろ!」
仲間に指示をした教団員はすぐに持っていたアサルトライフルの銃口を向けて発砲した。音が鳴ると同時に2人はその場から離れる。
「文句言う前にこいつら片すぞ」
鞘から剣を抜いたクロムは駆け出し、撃たれているのも関わらず教団員の方へ突っ込んで行った。
「…てめぇ覚えてろよ」
恨めしそうにクロムの背中を睨みつけロスも後ろに続いた。