やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】

「何で、アッシの話を聞いてくれないんですか!!」



ポチが、私を睨む。



「・・・・だって、私、やくざじゃないし。」



ポチを見る私。



「・・・・何を言ってるんですか、小夜姉さん!!小夜姉さんほど、立派なやくざは、いませんよ?正気に戻ってくださいよ!」



今にも泣きそうな顔になるポチ。



「・・・・むしろ、私、立派なやくざなんかになりたくないんですけど?」



私は、呆れた表情でポチを見た。



「な、何でそんなこというんですか、小夜姉さん・・・。アッシの夢は、小夜姉さんが、立派な組長になることなんですよ!そして、敵対組織に撃たれて殺された小夜姉さんの仇をアッシがとるんです。・・・土砂降りの雨の中で。相手の組長の命をとって、空を見上げながら言うんですよ。小夜姉さん・・・仇はとりました。・・・安らかに眠ってください・・・・っていうアッシの夢はどうなるんですか!」



「・・・ポチさん、私、死んじゃってますけど?」



ポチの夢に呆れる私。



これ以上ない軽蔑した視線をポチに向けた。



「そんな事言わないで、アッシの夢のために、立派な組長になって、撃ち殺されてくださいよぉ~~~。」



目と鼻から液体を出しながら、私の肩を掴むポチ。



その瞬間、私は、ポチを思いっきり合気道の技で投げた。



バタンッ!



「グエッ!」



硬い台所の床に叩きつけられるポチ。



ポチの叫びを聞いて、部屋から真木ヒナタが、台所へ飛び出してきた。



「何か楽しいことがあったのか?」



ゴツンッ!!



「ギャァッ!!」



その飛び出してきた真木ヒナタが、床に倒れていたポチに気づかずにポチの頭を思いっきり蹴る。



「何だ?何でポチが、こんなところで寝てんだ?まったく危ない奴だな。俺がポチにひっかかって転んだらどうするつもりなんだ。」



思いっきりポチの頭を蹴った後での真木ヒナタの言い分。



ポチは、動かなくなってしまった。


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