やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「それよりも、小夜さん、入った金額ではなく、出ていった金額の方を見てください。」
執事に言われ、私は、出ていった金額の方を見た。
「・・・・・・・・?・・・・・・・・・あれ?入った金額とほとんど同額のような・・・・」
私は、何度か数えた後でつぶやく。
「はぁ~・・・そうなんですよ、小夜さん。せっかく笹山組の下部組織の皆さんが必死で稼がれたお金とほとんど同額のお金が出ていってるんですよ。」
執事の疲れたようなため息。
「・・・そんなにお金がかかるんですか?」
私は、執事に尋ねた。
「・・・確かに組を運営していくには、それなりにお金がかかるのですが・・・・ここまで大金がかかるのは、ヒナタさんや組長のせいなんですよ。」
「真木さんや組長のせい?」
「そうです。この間の結婚式にしても、ヒナタさんが、教会のステンドグラスを割りましたよね。」
「はい。・・・・見事に粉々にしました。」
私は、執事の言葉にうなずく。
「あれ・・・・かなり年代物の高級品だったみたいなんですよ。」
哀しそうな執事。