やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
警察署の中は、表現しようのない混乱の極みだった。
まるで警察署の中にいる全員が叫びながら、走り回っているような状態。
そんな中にいきなり入ってしまった私は、どうしたらいいのかわからずに入り口で動きが止まってしまった。
「小夜さん?入らないのですか?」
私が入り口に立っているために中に入れない執事が、私に尋ねる。
「あっ、す、すいません。」
私は、執事が中に入れるように横にずれる。
「・・・・もの凄い・・・混乱ですね・・・。」
中に入ってきてすぐに、執事も驚いたような表情でつぶやく。
「・・・警察署の中って、いつもこんなに騒乱状態なんですか?」
私は、横に立っている執事を見上げた。
「・・・いえ、いつもは静寂に包まれた場所ですが・・・」
執事は、驚いたような表情のまま答える。