やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「おっ、来たか。クソ餓鬼が!」
いきなり執事をクソ餓鬼呼ばわりで呼ぶ声がした。
私と執事が、その声の方向を向くと、そこには初老の刑事が立っていた。
「これは、加藤さん、いつもお世話になっております。」
執事が、丁寧に頭を下げた。
私も、執事と一緒に頭を下げる。
「まったく、あのクソ餓鬼が、立派な大人になって・・・。」
執事のことをクソ餓鬼呼ばわりしながらも、何故かうれしそうに笑顔になる加藤刑事。
「加藤さんもお元気な様子で。」
執事も笑顔で加藤刑事に話しかける。
「どこが元気なもんか・・・最近じゃ、関節のあちこちが痛んでな・・・ハァ・・歳はとりたくないもんだな。」
「またまた、全然、元気そうじゃないですか、ところで、大和はどこに?」
執事が、いきなり本題に入った。
「・・・・・・」
少し言いにくそうな表情になる加藤刑事。
「・・・・何か、問題でも?」
加藤刑事の表情を読み取り、真剣な表情で尋ねる執事。
「・・・問題というか、何というか・・・・」
加藤刑事は、もの凄く言いにくそうな表情になる。
「・・・・・・とりあえず、こっちについて来てくれ。」
加藤刑事は、執事と私にそう言うと、近くの階段を上がり始めた。
執事と私は、不安を抱いたまま、加藤刑事について、階段を上がっていった。