やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめんなさい。」
証拠まで押さえられて、もう嘘のつきようがない真木ヒナタ。
観念して、素直に謝る。
そして、執事に殴られるのを覚悟して、真木ヒナタは、歯を食いしばった。
しかし、執事は、真木ヒナタを殴らなかった。
「・・・・殴らないのか?」
真木ヒナタが、恐る恐る、執事に尋ねた。
「はい。・・・・最近、思ったのですが、大和やヒナタさんがやんちゃなのは、私の教育が間違っていたのではないかと思いまして、少し考えを改めました。」
少し疲れたように言う執事。
「・・・・そうだよ。俺も、そうじゃないかなって思ってたんだよ。今どき、暴力で教育するなんて時代遅れなんだよ!」
まるで他人事のように意見を言う真木ヒナタ。
「そうですね。確かに時代遅れだったのかもしれません・・・・というわけで、真木さんと大和には、この屋敷の焼けた箇所の建て直し代1億円を稼いで来るまで、笹山組に出入り禁止とします。」
突然、執事の発表。
呆然とする真木ヒナタ。
「・・・・・・・・・・・・1億円?」
真木ヒナタは、どうにか言葉を搾り出した。
「そうです。・・・ただ、何もないところから、1億円を稼ぐのは難しいので、特別に自由に使えるお金1億円とぼったくりバーのあった店をつけてあげます。その1億円と店を使って、1億円を稼いできたら、出入り禁止を解除します。」
説明をしていく執事。
しかし、その話を聞く真木ヒナタは、目を丸くしたままだった。