wish-pray-cometrue

あの夜の彼の言葉を、頭のなかで何度も思い返していた。

今日は12月25日。

そう―X'masであり、私の誕生日であり、…あの約束の日だった。

正直迷っていた。

また会いたいと思う自分もいるが

もし冗談だったら…と考える自分もいる。

そんな迷いを抱えながら、残った仕事をこなしていた。

予想外に量が多く、全て終えた頃には既に20時を回ってしまっていた。

約束の時間を1時間以上も超えてしまった。

もういるはずない…

そう思いながら帰路につこうと会社を出た瞬間、いるはずのない人が目に入った。

会社の前の階段に腰掛け

カーキのコートを羽織った

私服姿の彼。

祥陽だった。

< 10 / 13 >

この作品をシェア

pagetop