PEACE
「うわぁぁ!」
「なんだこいつっ!」
後ろで二人を囲んでいた数人の男達が、悲鳴を上げた。
「何事だ!」
一旦腕の動きを止め、男は振り返った。
「女の子に乱暴するなんて、男として最っ低!」
数人の倒れている男を背景にファルコを片手に抱えたまま、剣を構えた奈久留の姿が、二人の目に映った。
「ファルコに謝りもしない、女の子に手を出す、外道にもほどがあるでしょ!」
奈久留は吠える。
「あんた、確か……」
瀬梛は茫然とした顔で奈久留を見ていた。
「なんだこのガキは。はやく始末しろ」
男の合図で、下っ端の男達が奈久留に向かってくる。
「危ない!」
瀬梛は奈久留の生死を案じながら、目をつぶった。
――カキンッ
冷たい空気の中、金属音が響き渡った。
「…………?」
何も聞こえなかった。
瀬梛は待ち構えていた音が耳に入って来ないことに疑問を持ち、そっと目を開けた。
ドサリ、と人が倒れる。
倒れたのは奈久留ではなく、奈久留に真っ先に向かって行った男の一人だったのだ。
倒れたとはいっても、血は出ていない。
気を失っているだけのようだ。