PEACE
「貸せ!」
喜びもつかの間だった。
ベッドで寝ていたはずの彼女が、先ほどまで雪夜が持っていた金の入った袋を、
奪い取っていた。
「ちょっと! 何するの!?」
奈久留は思わず声を上げた。
「どういうつもりだ」
先ほどとはうって違う雪夜の声は、低く重い。
「お前達に、頼みがある」
「だからなんだと言うんだ」
「頼みを聞いて貰えぬのなら、この金を返すわけにはいかない」
雪夜に怖じけることなく、瀬梛ははっきりと答えた。
「お前達の手助けが必要なんだ。瀬裡を……妹を、助けたいんだ!」
涙声で悲願する瀬梛。
瀬梛は、「もう時間がないんだ」と、最後に付け加えた。
「……雪夜」
奈久留のなだめるような目に、雪夜も仕方なく了解も示した。
「…………わかった。話だけでも、まずは聞こう」