プラチナの誘惑
「この布絵本を作ったのって森下さんでしょ?」

ばんっと目の前に出された赤い絵本。

B6の大きさで、刺繍やアップリケがほどこされた布製の絵本をにこやかに見せる柳さん。

「販促ツールの中で断トツ一番人気のこの絵本の企画制作は森下さんがしたって聞いてるわよ。
私もいつも鞄に入れて、
子供がぐずったら持たせてあやしてるもん。
本当いい物作ってもらったわ」

ふふっと笑う柳さんから布絵本を渡された昴は、意外に神妙な顔で絵本のページをめくり始めた…。
全部で10ページの絵本…。
私の想いを詰め込んだお話を読んでいる姿が目の前にあって…かなり恥ずかしくて…。

そして、やっぱり目がいくのは昴の唇で。

形のいい唇を見ていると、それだけでキスされた時の温かさが蘇ってきて…。
心臓がうるさい。

< 22 / 333 >

この作品をシェア

pagetop