プラチナの誘惑
思わず手を口元に持っていきそうな気持ちをぐっと堪えて俯く私の顔は
真っ赤に違いない。

とりあえず座って気持ちを落ち着かせようと深呼吸するものの、まるで効果なし。

この鼓動の速さは、突然入社案内に載る事が決まった緊張が原因なのか、それとも昴にキスされた記憶が原因なのかよくわからない。

思い出すと跳ね回る鼓動は、きっと昴が原因だと教えてくれるけれど。

ただ…。

ちゃんとわかるのは。

何事もなかったかのように穏やかな表情を見せる昴にとって。

さっきのエレベーターの中でのキスは大した意味なんてないんだろうなぁって事。

いつも女の子には不自由してないし、キスなんて鼓動が跳ねるほどのものじゃないんだと…。

今まで恋愛を人並みに経験してこなかったから…
こんな時はどうすれば、軽く受け止められる強さを発揮できるのかわからない…。


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