プラチナの誘惑

会社から近い『おりがみ』は、俺もよく行く店で。

迷う事なく店の前の大通りに車を停めて、少しはやる心を抑えながら車を降りた。

彩香はちゃんと待っているのか不安も感じつつ歩き出した途端に視界に入る彩香の顔。

溶けてしまいそうな甘さを瞬間感じたと同時に。

｢…嘘だろ？｣

彩香の隣にニヤリと笑いながら立っているのは…
スーツにハイヒールを履き美人の仮面をかぶった悪魔…。

｢…こんばんはー｣

作り笑いを浮かべて小さく手を振る姿に隠す事なくため息をついて、

｢…忘れてました。
詩乃先輩が営業部にいてるって…｣

｢ふふ。そんなに嬉しそうに言わないでよ。

…で？この状況を説明する気はあるのかな？｣

重い足取りで詩乃先輩の前に立つと、訳がわからない不安気な顔の彩香と目が合う。