プラチナの誘惑
肩をすくめながら

『大丈夫』

と目で合図を送りながら、詩乃先輩には

「黙秘権行使するんで」

と軽くかわしてみた。
予想してたのか、顔色も変えず、いつもの余裕な態度のまま

「やっぱり?
じゃ、私も家まで送ってよ。
柊ちゃんもきっと会ったら喜ぶよ」

あっさり言い放つと、一人でさっさと車に歩きだす背中。

「詩乃先輩…」

はぁ…。
昔から言い出したらきかない性格は変わらないよな…。
決断も行動も人一倍早くて、力強い女そのもの。

ずっと振り回されっぱなしの自分に少し笑えてくる。

「…逢坂さんと知り合い?」

隣を見ると、不思議そうに俺を見る彩香。
お酒のせいか、ほんの少し赤い頬がかわいくて、思わず抱き寄せてしまいそうになる。

ずっと見ようとしなかった自分の気持ちに気づいてしまいそうで…戸惑ってしまう。
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