先生のビー玉
「お母さん、ちょっと貴子の家に行ってくる」

「は?今何時だと思ってるの?」

「ごめんっ」

「…気をつけていくのよ。
それと…貴子ちゃんばっかり口実作っちゃだめっ!」

「え?」

「彼氏でしょっ。
車なの?」

突然の母の発言にあんぐりと口をあける佳奈。

「ど、どうして?」

「馬鹿ねぇ、娘の変化に気づかない母親がどこにいると思ってんのっ!」

「…あはは…」

「で、彼氏は車?」

頷く佳奈。

「だったらいいのよ。
ちゃんと正直に言いなさい。
じゃぁ…1時間。10時には帰ってきなさい」

「…いいの?」

「だって、今会わなきゃいけないような感じじゃない?
ほらっ、早く行きなさい」

「ありがとうっ」

佳奈、ダウンジャケットを着ると玄関を飛び出していった。

「…佳奈にも彼氏ができちゃったのね」

ボソッと呟く母…清美。
入れ替わりで父…隆二が入ってきた。

「今までいないくらい早い走りだったぞ」

驚いている。

「ん?まぁ、愛しの彼氏が待ってるみたいだからね」

「なに?」

「ま、佳奈もそういう年頃になったわけよ」

玄関先で呆然と立つ隆二。

「ほらっ、そんなところに突っ立ってないで、さっさと入って。
風邪ひくわよっ」

清美の一声でやっと体が動いたようだ。

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