午前0時の誘惑
こんな状況でさえ、余裕たっぷりの海生。
堂々と、そして凛とした立ち居振る舞いは、そこに顕在だった。
むしろ、いつにも増して優美で、そばで見ている私の心臓は大きく高鳴るばかり。
「それに、莉良が妙な小芝居を打ったのが悪い」
そう言われてすぐに浮かんだのは、陸也を彼氏に見立てたときのことだった。
それじゃ、あれは嘘だと見抜かれていたの?
「莉良が愛してるのは、俺だけのはずだ。それを見せつけてやりたかった」
海生は、自信に満ち溢れていた。
そうだよ、その通り。
私には海生以外に考えられない。
でも……。
「私、こういうところは苦手なの」
「分かってるよ。だから……おいで」
私の手を包み込み、おもむろにステージから私ごとさらう。
「それじゃ、黒川、あとはよろしく頼んだぞ」
そでで見守っていた黒川さんの肩を軽く叩いた。