虹の世界
はおっていた薄いパーカーのポケットに手を突っ込み、彼女の背中を見つめていた。

俺の存在を、まるで無いみたいに前に進んで行く。

俺を拒絶しているのか………。

それとも…………。

今、この状況をどう理解すべきなのか。

歩いているうち、だんだんと思考がマイナスへ向かっていった。

一番の問題は、俺が芸能人だと言うことを隠していたと言うこと。

それは悪かったと思う。

ショックだったのは目の前で見てわかっている。

でも、だから?

俺は、俺。

アイドルである前に、一人の男。

吉永 瞭 にすぎない。

俺たちの出逢いに、何か問題がある?

障害が?

そんなもの、無いとは言い切れないけれど、どうにでもなる。




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