ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
「け、敬にぃっ!!」
やっと今の自分の状態を把握した茜は、抱き上げていた敬悟の身体を慌てて放り出した。
「でっ!」
茜の膝の上に勢いよく落ちた敬悟は、『イテテ』と眉を寄せている。
「え!? あ、う!?」
敬悟は、状況が理解できずに、言葉にならない声を発して百面相をしている茜の顔に両手を伸ばしてムニッっと両頬を引っ張ると、苦笑を浮かべた。
「お前……なぁ。これはないんじゃないか?」
「ホメンナハイ《ゴメンナサイ》……」
「素直で、よろしい」
ゆっくりと、だが確実に、敬悟は立ち上がる。
そして、完全に立ち上がると、上総に向かって言い放った。
「もう一度、やってみるか? 今度は簡単にはやられないぜ?」
――俺には、勝利の女神が付いているからな。
戦い勝たねば未来が無いなら、それが誰だろうと、どんな相手だろうと、勝ってやる。
敬悟の目には、もう何の迷いも無かった。
最後の戦いが、始まろうとしていた――。