満ち足りない月
思わず見入ってしまっていたセシルは途中でハッとして答えた。
「ええと、道に迷ったのかしら?貴方達、兄妹?」
セシルは出来る限り優しい声で言うと、二人を向後に見た。
少年は少し慌てた様子で「いえ、兄妹ではなくてですね…」とセシルに言うと続けた。
「ラルさん、いらっしゃいますか?」
セシルは少し驚いた。
やはりラルに用があるらしいが、この二人は彼とは何とも不釣り合いな気がしたからだ。
「ラルはまだ寝てると思うけれど…」
セシルがまだうろたえながらもそう答えると、少女が鼻をならすと言う。
「まだ寝ているのか、全く。先に入っているとするか。行くぞ、レイル」
「はい」
レイルと呼ばれた少年は返事をすると、少女の為に扉を開けた。
開けられた扉から少女は靴の音を鳴らしながら、入ってきた。