O.S.C
立ち止まっていたせいか、不意に後ろから歩いてきた人にぶつかった。

「あっ、すみません」

「いえ、こちらこそゴメンなさい。立ち止まっていたせいで…」

振り返ると、私服の少年がいた。

私と近い歳ぐらいの少年だ。

これから旅行にでも行くのか、大きな荷物を持っている。

「サマナ、行くぞ」

「ああ、今行く。父さん」

少年が父親と呼んだのは、どこか暗い雰囲気を背負う中年男性。

少年と面影が似ていることから、2人の血縁関係が分かる…が。

この2人、かなり重い血の匂いがする。

とても重く、そして古い。
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