女子DEATHヒーロー
 那奈をみると、那奈は慌てて後ろのドアから廊下に出て行った。
 那奈が何しに行ったのか分からないけど、とりあえず出て行かずに見守ってみた。

「先輩!絢灯ちゃんに何か用事ですか?」
「那奈さん。哉様が呼んでるのよ」
「全く……何なのかしら。親衛隊入ってもないのに、しかも、一年なのに!」
 心配そうな顔をする那奈ちゃんと意地悪そうな二人のセンパイ。那奈がいじめられてるみたいに見える。
「抜け駆けは反則だわ!」
 言いたい放題すぎるし!あたしは何もしてないのに。
「先輩、絢灯ちゃんはただ呼ばれただけですよ」
「那奈さん、あなたも哉様の親衛隊なら……」
「先輩……?」
 那奈が言うと、センパイ方は黙った。顔は見えないけど、何か異様な雰囲気が。那奈、一体何をしたわけ?

「呼んできますね」
 那奈はセンパイにそう言うと、あたしの方に走ってきた。
「絢灯ちゃん、行かない方がいいかも。……嫌な予感がするの」
 那奈、あたしもそう思う。ぼっこぼこにされる気がする。

「鈴木さーん」
 あたし達がひそひそ話していると、またクラスメートに呼ばれた。
「呼び出し」
 後ろのドアを見ると、生徒会長の親衛隊の麻子さんと優子さんと佳奈子お嬢様が。
 あたしが唖然と見ていると、麻子さんが手を振った。

「絢灯、ちょっと来てくれない?」
「麻子さん……。あ、ちょっと今は……」
 ヤン長親衛隊にも呼び出されてるし。麻子さんは苦笑した。絶対、厄介な人だと思ってる。

「あー、葉月の親衛隊か。……じゃ、強制連行するよ」
 麻子さんが笑うと、両腕をがっしり捕まれた。え、ちょっと!
 廊下を出た時、ヤン長親衛隊と目があった。あああ……こわ。
「杏南、先に借りてくよ」
「麻子!」
 あたし、どうしたらいいのか分かりません!
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