君に染まる(前編)


獅堂先輩のファン…。



「…なんですか?」



後ずさりをするあたしの腕を掴み、
あたしの口をふさいだ。



「ちょっと来なさい」



運の悪いことに誰もいない講堂。



声を出すことの出来ないあたしは
誰にも気付かれることなく
講堂裏に連れて行かれた。










「あなた、よくも告げ口してくれたわね」



前と同じように
壁に追い込まれ囲まれたあたしは、
そう言われぽかんとする。



「とぼけないで!
あたし達があなたにしたこと全部、
獅堂くんは知ってるらしいじゃない!?」



「あなたが告げ口したからでしょ!?
どうしてくれるのよ!」



そう言われても…。



「あたし、そんなことしてません…」



「じゃあなんで
獅堂くんが知ってるのよ!!」



あ…あたしだって知りたいよ~…。



「…まあ
…もうそんなことどうでもいいの」



1人の先輩がなにか合図をすると、
もう2人の先輩が
あたしの腕を片腕ずつ掴んだ。


< 140 / 337 >

この作品をシェア

pagetop