君に染まる(前編)
獅堂先輩のファン…。
「…なんですか?」
後ずさりをするあたしの腕を掴み、
あたしの口をふさいだ。
「ちょっと来なさい」
運の悪いことに誰もいない講堂。
声を出すことの出来ないあたしは
誰にも気付かれることなく
講堂裏に連れて行かれた。
「あなた、よくも告げ口してくれたわね」
前と同じように
壁に追い込まれ囲まれたあたしは、
そう言われぽかんとする。
「とぼけないで!
あたし達があなたにしたこと全部、
獅堂くんは知ってるらしいじゃない!?」
「あなたが告げ口したからでしょ!?
どうしてくれるのよ!」
そう言われても…。
「あたし、そんなことしてません…」
「じゃあなんで
獅堂くんが知ってるのよ!!」
あ…あたしだって知りたいよ~…。
「…まあ
…もうそんなことどうでもいいの」
1人の先輩がなにか合図をすると、
もう2人の先輩が
あたしの腕を片腕ずつ掴んだ。