不器用な指先
こんなに何かを悔やんだことはあっただろうか。
こんなに自分を押し潰してやりたい気持ちに駆られたことは
あっただろうか。
『ごめ…なさ…っ…!!』
無機質に鈍い音を立てる自販機の横で、ひたすら謝罪の言葉を零した。
許して
許して
許して
私の罪を 許して下さい
悔やまれて
悔やまれて
胸の奥が押し潰される。
―あれは誤解なんだ―
どうして信じてあげられなかった?
どうして透の話を聞かなかった?
どうして部屋を飛び出した?
どうしてカーディガンを取りに戻らなかった?
どうして
どうして…
―暖めてくれるって言ったよね―
透を裏切ってしまった…?
透を信じていれば
透の話を聞いていれば
部屋を飛び出さなければ
カーディガンを取りに戻っていれば
そしたら
透は死ななくて済んだのに
私を探しに、暗い中を走り回らなくて
済んだのに―――
巡る後悔の行き着く先は、今日一日では終わらない。
―明日ちゃんと説明するから。な?―
昨日切った透の電話。
今となっては最期の電話。
どうしてすぐ会いに行かなかった?
あの時無理にでも会いに行っていれば、少しは運命を変えれたかもしれないのに。
…ううん。もっと前だ。
透の運命が狂ったのは、そう――
『初めまして、柊 実冬です』
『あ、どうも。初めまして、城澤 透です。』
――そうだ。
透が死んだのは…
彼の運命が変わったのは…
私に…出会ってしまったから…?
私なんかに…出会わければ…
透はもっと、優しくて物分かりがよくて…わがままなんか言わない人と
きっと
きっと素敵な家庭を築いていたに違いない…
『あたし…っ…ごめ…なさ…っ』
届かない言葉を、必死で紡ぐ。
自己満足だとしても、まるでなかったかのように、この罪を私一人の胸に閉まっておくには、余りにも重過ぎた。
『と…る…っ…』
せめて…
せめて携帯に出ていれば…
メールを返していれば…
透は死ななくても済んだだろうか……
ゆっくりと顔を上げて、ポケットの中から携帯を取り出した。