不器用な指先
チカチカと未読メールの証拠が光っている。

唇を噛み締めたまま、ゆっくりと携帯を開けた。


―未読メール 56件

留守番メッセージ30件―


「………っ」


ホテルで見た時よりも、留守電が1件だけ増えていた。


響の腕の中にいたとき、ベッドの上から横目に見えたピンクの着信ランプ。


きっとあの時の着信だと、

あの時のあれが

最期の着信だったのだと分かると


悔やまれて悔やまれて―――



『……っく…!』


透が最期に残したメッセージを聞く気にはなれなかった。


その代わりに、彼が残した『言葉』を見るために、静かに指をボタンの上へと移動させる。


滑らかなプラスチックのボタンの上を、ぎこちなく指が動いていく。

震えているという、その感覚さえ失いそうな親指でボタンを押し、メールボックスの画面を開いた。
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