不器用な指先
びっしりと並んだ、透の名前。

今は亡き、透の名前。

私が裏切った

私が殺した


―――透の名前。



一番上にあったのは、最後にホテルで見た、透からのメールだった。

これが、透からの最期のメールになるなんて。

あのときすぐに返信していれば、何かは変わっていたのだろうか。

彼は死なずに済んだのだろうか。


一通も中身を読むことすらなく携帯を閉じた、数時間前の自分を



心底憎んだ。





――今更。

分かっている。

今更メールを読んで返信したって、もうそれに透が返事をしてくれることは
二度ない。

読んだって何の意味もない。

あまりにも空虚で、何の意味すらもない行為。


分かってはいながらも私の渇いた指は、あの、透の部屋を飛び出した時間のメールにまでスクロールを進めてていた。


そして

私が透の部屋を飛び出した数分後に届いたメールを、ゆっくりと開く。

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