手のひらの終焉
気配を感じたのと同時にスクセの声がして、リャウカは振り向いた。
 
星に意識を奪われていたとはいえ、

こんなそばに人が来るまで気付かなかったことに、リャウカは驚いた。
 
致命的なことだ。
 
これが敵だったら。
 
思いかけて、スクセをじっと見、リャウカは笑った。
 
敵だったら、もっと殺気立っているか、

秘めた殺意で凍りついた雰囲気を発散させているハズだ。
 
こんな全身平和に侵されてそうな人間にまで、警戒して何になる。
 
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