タレントアビリティ
その言葉に風音は何も言えないようだった。ぴたりと止まった風音はしばらくしてから、「打算的ですね」と呟いてもう一度腰を降ろす。
添はその様子を見ていた。やはり両親に見つかってはならないということか。それは当たり前の事ではあるものの、しかし添にとっては風音の怯えは、悪さが見つかるだけのものではないようで。
「ばれちゃまずいんだ」
「……一応」
「風音さん、そういう人には見えないからかな。屋上の常連は俺だけで結構だね、やっぱ」
「添さんはいいんですか?」
「俺はいい。別に、いたっていなくたって大差ないから、教師もみんなもスルースルー」
「……かわいそ」
「あんたよりはマシ」
「どういう……、意味ですか」
ジト目で見られるものの、添はそれをさっと受け流してしまえる。能恵との会話でつちかってしまったこの技術が、こういう点で役に立つだなんて。
「たかがサボり、親に見つかったくらいで普通はたいしたことない。俺なんか親とは別居だから、完全にフリーなのさ」
「別居、ですか」
「そ、あんたと同じ」
瞬間、風音が立ち上がった。よろめきながら添から距離をとり、反対側のフェンスにガシャンと音を立てて背中をぶつける。膝が震えていた。
キーンコーンカーンコーン。チャイムの音が響き、授業と休みの境界線を告げた。この屋上だけを取り残すかのように。
添はその様子を見ていた。やはり両親に見つかってはならないということか。それは当たり前の事ではあるものの、しかし添にとっては風音の怯えは、悪さが見つかるだけのものではないようで。
「ばれちゃまずいんだ」
「……一応」
「風音さん、そういう人には見えないからかな。屋上の常連は俺だけで結構だね、やっぱ」
「添さんはいいんですか?」
「俺はいい。別に、いたっていなくたって大差ないから、教師もみんなもスルースルー」
「……かわいそ」
「あんたよりはマシ」
「どういう……、意味ですか」
ジト目で見られるものの、添はそれをさっと受け流してしまえる。能恵との会話でつちかってしまったこの技術が、こういう点で役に立つだなんて。
「たかがサボり、親に見つかったくらいで普通はたいしたことない。俺なんか親とは別居だから、完全にフリーなのさ」
「別居、ですか」
「そ、あんたと同じ」
瞬間、風音が立ち上がった。よろめきながら添から距離をとり、反対側のフェンスにガシャンと音を立てて背中をぶつける。膝が震えていた。
キーンコーンカーンコーン。チャイムの音が響き、授業と休みの境界線を告げた。この屋上だけを取り残すかのように。