タレントアビリティ
「訳が分かりませんよ……。そんな、いきなり才能とか、言われましても……」
「人にはそれぞれ才能がある」
カツン、カツンと歩み寄り、ゆっくりと語り始める添。能恵と過ごし、様々な才能を肌で感じた彼におけるたったひとつの柱こそが、語る言葉にある。
「プラスにもマイナスにも捉えられる才能が、人にはそれぞれあるんだけど」
カツン。
「残念ながら俺には、そういうものが何ひとつ無くてさ……。それに引け目を覚えたりしてる」
カツン。
「昨日の屋上で、俺が急に冷めたの覚えてる?」
「え、ええ、一応……」
「それは風音さんが、自分の才能を思い切り自分で否定したから、それにカチンと来た」
「……そんな、私は別にそんなつもりじゃ!」
「そんなつもりじゃなくたって、謙遜が凡人をいかに痛め付けるか知らないわけじゃないでしょ? ん?」
風が吹く。添の短い髪は揺れず、風音の金髪だけが揺れた。さらりと流れるようにではなく、ただ纏まって、ぶわりと。
「音楽、やめれば?」
「あなたに……」
「やめればホントに? 誉められてもけなされても自分が傷つくだけみたいならさ、そんなの、ふさわしい才能じゃないでしょ」
「あなたに私の、何が分かるって言うんですか!?」
風が止んだと同時に、風音の悲痛な叫びが響いた。チャイムが鳴り、そして静まる。静かになった校舎と教室。静かにならない屋上の、風音の感情。
両手を胸に当てて握り潰すように、風音は金切り声を上げた。
「人にはそれぞれ才能がある」
カツン、カツンと歩み寄り、ゆっくりと語り始める添。能恵と過ごし、様々な才能を肌で感じた彼におけるたったひとつの柱こそが、語る言葉にある。
「プラスにもマイナスにも捉えられる才能が、人にはそれぞれあるんだけど」
カツン。
「残念ながら俺には、そういうものが何ひとつ無くてさ……。それに引け目を覚えたりしてる」
カツン。
「昨日の屋上で、俺が急に冷めたの覚えてる?」
「え、ええ、一応……」
「それは風音さんが、自分の才能を思い切り自分で否定したから、それにカチンと来た」
「……そんな、私は別にそんなつもりじゃ!」
「そんなつもりじゃなくたって、謙遜が凡人をいかに痛め付けるか知らないわけじゃないでしょ? ん?」
風が吹く。添の短い髪は揺れず、風音の金髪だけが揺れた。さらりと流れるようにではなく、ただ纏まって、ぶわりと。
「音楽、やめれば?」
「あなたに……」
「やめればホントに? 誉められてもけなされても自分が傷つくだけみたいならさ、そんなの、ふさわしい才能じゃないでしょ」
「あなたに私の、何が分かるって言うんですか!?」
風が止んだと同時に、風音の悲痛な叫びが響いた。チャイムが鳴り、そして静まる。静かになった校舎と教室。静かにならない屋上の、風音の感情。
両手を胸に当てて握り潰すように、風音は金切り声を上げた。