タレントアビリティ
「あ、お前姉貴が危篤だって言ってサボってたけどよ、大丈夫だったのか?」
「能恵姉さんはいつでも奇特だよ。不思議で変だから、奇特で間違いは無い。言葉のアヤだ」
「なかなかのギャグセンスじゃん、それ」
「数学しか教えない菅野先生に、そこまでのボキャブラリは無いからね」
「……やるねぇ。って来た来た来たー!」

 目の前に並べられた和食御前に目を輝かせる万。1名様2500円のものを学ランで注文するのもどうかとは思うが。しかも2人前を食べるらしい。
 ちなみに添は生姜焼き定食。1000円からお釣りが来る庶民的なお値段。巨大ショッピングモールの隣にある和食レストランに、2人はいた。

「いっただきま~す! っと」
「……5000円もこいつに無駄遣いなのか、俺は」
「う、まーっ! はっはっはっは、ありがたいねぇ空白君よ! やっぱ家は出るもんだ!」
「お前さ、帰らなくていいのか?」
「放任主義だからよ、好き勝手やらせてもらってるわ。成績だって悪かないんだし、いいじゃねぇか。それより、空白……」

 粗茶を飲みながら万が尋ねる。思いの外シリアスな物言いに、添は箸を少しだけ止めた。
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