タレントアビリティ
「私は何にも教えないから。そえが何かするって決めてるんなら、私はそれを見守る。私の行動に干渉するのもよし、しないのもよし。でもね、きちんといい方向に転ばしなさいよ~? 今きっと風音ちゃん、かなぁり不安定な精神状態にあると思うしね」
「やっぱまずかったですかね、バイオリン破壊」
「どうだか。そえがやった事だから、結局は自分できちんと利用しなきゃいけない複線を作ったって事だよ?」
「複線、ですか」
「ん。……そうだね、教えてあげようかなぁって思ったけど、そえの才能を信じちゃえ」
手を振り払って布団から起き上がり、コップの水を飲み干して能恵は笑う。小柄な身体で思い切りのびをした後で、電灯の紐に手を掛けた。
添も身体を起こして能恵の言葉の裏をせかす。しかし能恵は紐を引き、真っ暗にした部屋で優しく告げる。
「おやすみなさい。それと、ただいま」
「……お帰りなさい」
「学校は行きなさいよ? 屋上が好きなら屋上でいいし、サボりもやりたいならやればいいじゃない。ああいう虚勢張りたがりな年頃のみんなが集う空間にこそ、そえが生かせる才能のきっかけがあるんだけどな~」
時差ボケ修正のために私も寝る、と付け加えて、ちょっぴり酔っ払いな能恵は部屋を出て行った。能恵の部屋は一応別室があり、彼女は睡眠をそこで摂るだけに使っている。あとは荷物置場。
そのドアが閉まる音が聞こえてから、添はずっと考える羽目になってしまった。何をすべきか、何をすべきか。拍律風音の才能を生かせる、何かしらは無いか。
「鏡、だからかな」
しかしその考えは、いつしか疑問になっていた。答えを呟いては無理矢理納得し、けれど本当は違うと心のどこかで分かっている。自分がどうしてここまで風音に肩入れするかなんて、そんなのどうだっていいのに。
明確な答えを欲しがるのは仕方ない。それだけを確認してから、今度こそ添は眠りに落ちた。
「やっぱまずかったですかね、バイオリン破壊」
「どうだか。そえがやった事だから、結局は自分できちんと利用しなきゃいけない複線を作ったって事だよ?」
「複線、ですか」
「ん。……そうだね、教えてあげようかなぁって思ったけど、そえの才能を信じちゃえ」
手を振り払って布団から起き上がり、コップの水を飲み干して能恵は笑う。小柄な身体で思い切りのびをした後で、電灯の紐に手を掛けた。
添も身体を起こして能恵の言葉の裏をせかす。しかし能恵は紐を引き、真っ暗にした部屋で優しく告げる。
「おやすみなさい。それと、ただいま」
「……お帰りなさい」
「学校は行きなさいよ? 屋上が好きなら屋上でいいし、サボりもやりたいならやればいいじゃない。ああいう虚勢張りたがりな年頃のみんなが集う空間にこそ、そえが生かせる才能のきっかけがあるんだけどな~」
時差ボケ修正のために私も寝る、と付け加えて、ちょっぴり酔っ払いな能恵は部屋を出て行った。能恵の部屋は一応別室があり、彼女は睡眠をそこで摂るだけに使っている。あとは荷物置場。
そのドアが閉まる音が聞こえてから、添はずっと考える羽目になってしまった。何をすべきか、何をすべきか。拍律風音の才能を生かせる、何かしらは無いか。
「鏡、だからかな」
しかしその考えは、いつしか疑問になっていた。答えを呟いては無理矢理納得し、けれど本当は違うと心のどこかで分かっている。自分がどうしてここまで風音に肩入れするかなんて、そんなのどうだっていいのに。
明確な答えを欲しがるのは仕方ない。それだけを確認してから、今度こそ添は眠りに落ちた。