タレントアビリティ
「私に、何も期待しないで下さい……。音楽、疲れたんですよ、もう。好きに奏でる事は、私にはもう出来ないんですよ」
「それでもさぁ、風音さんのその才能はさ、やっぱ」
「才能なんて……、無ければよかったんですけど……。拍律の家系では、私は落ちこぼれ。なのに他人は、才能があると」
「そりゃそうだろっての。お前さ、そろそろいい加減にしてくれないかな。その言い方ってね、凡人傷つけるんだけど」
「……知りませんよ。だってどうせ、あなたに」
そう口にしかけた時だった。人の少ないホームの階段、ピアノのハードなリズムが鳴り響く。風音と添は一瞬きょとんとしてそれを聞いていたものの、すぐに風音は音源を取り出してボタンを押して話し始めた。どうやら風音の携帯電話の着信音らしい。
電話で話し始めた風音を添は眺める。見る見るうちに青ざめていく風音の顔色を見れば、電話の相手が誰だかなんてすぐに予想出来た。
「能恵さん……。何してるんだろーか」
「添さん……、あの……」
「どうかした?」
「電話の相手が……、代われって……。まるでこちらの事、見透かされているみたいで……」
「……名前は?」
「すみしろ、さん」
「知らない名前だ。分かったよ。でもこれで風音さん、事の重大さが分かったかも?」
「はい……」
動揺する風音から携帯電話を受け取り、耳に当てる。電話口からは案の定の声が聞こえてきた。やはりどこと無く間の抜けたそんな声。この人にしてみれば、人を1人変える事など楽勝ということなのだろうか。
「それでもさぁ、風音さんのその才能はさ、やっぱ」
「才能なんて……、無ければよかったんですけど……。拍律の家系では、私は落ちこぼれ。なのに他人は、才能があると」
「そりゃそうだろっての。お前さ、そろそろいい加減にしてくれないかな。その言い方ってね、凡人傷つけるんだけど」
「……知りませんよ。だってどうせ、あなたに」
そう口にしかけた時だった。人の少ないホームの階段、ピアノのハードなリズムが鳴り響く。風音と添は一瞬きょとんとしてそれを聞いていたものの、すぐに風音は音源を取り出してボタンを押して話し始めた。どうやら風音の携帯電話の着信音らしい。
電話で話し始めた風音を添は眺める。見る見るうちに青ざめていく風音の顔色を見れば、電話の相手が誰だかなんてすぐに予想出来た。
「能恵さん……。何してるんだろーか」
「添さん……、あの……」
「どうかした?」
「電話の相手が……、代われって……。まるでこちらの事、見透かされているみたいで……」
「……名前は?」
「すみしろ、さん」
「知らない名前だ。分かったよ。でもこれで風音さん、事の重大さが分かったかも?」
「はい……」
動揺する風音から携帯電話を受け取り、耳に当てる。電話口からは案の定の声が聞こえてきた。やはりどこと無く間の抜けたそんな声。この人にしてみれば、人を1人変える事など楽勝ということなのだろうか。