タレントアビリティ
「技術、ですね」
「……いいじゃん、たまには」
「続きは?」
「その、技術、があるってことはー。なかなか『直感』に優れているような気がするのよね」
「直感、ですか」
「人の五感」

 すぱっと能恵は立ち上がり、両手を胸の前でわきわきさせながらニヤつく。ヤバ気な雰囲気に後ずさる添だったが、もう逃げられない。

「視覚! 聴覚! 触覚! 嗅覚!」

 目を指で突かれ、耳を軽く引っ張られ、頬にビンタを1発受けて、鼻を摘まれた。各動作それぞれ0.5秒でこなし、添の動きを鈍らせる。

「な……!」

 目を押さえて眩む添の頬を両手で挟み込み、妖艶な笑みを込めて添の唇を見る能恵。幼さとのギャップがまたなまめかしい。

「味覚……」
「させるかよっ!」

 唇を奪われる前に超直感で放った添の膝蹴りが能恵の顎を直撃。ガクンッ、と大きく能恵が揺れて、そのまま添の腹筋くらいに倒れ伏した。
 ぴくぴくと震える能恵。添はだんだんはっきりしてきた視界で世界を確認し、ダウンしている白髪をチョップした。

「無茶苦茶な事を……」
「……うげぇ」

 顎を揺らされて吐き気を訴える能恵だが、しかしそれにも構わず起き上がり、顎を押さえながら添に言った。涙目で。
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