タレントアビリティ
「意外と、当たる?」
「うん」
「いやあ……。当たらないんじゃね?」
「それは人それぞれなんだよ。ただ、多くの人はそれなりに当てる事が出来るの。被害は最小限に留まるわね。だいたい半分は、案外当たってくれるんだって」
「まあ、でも言いたい事は少し分かりましたよ。火事場の馬鹿力、みたいな具合ですよね」

 水出し緑茶を啜りながら添が言う。能恵は親指を立てて深く頷き、そして意外な顔で言ってくれた。何で当てられたんだろう。そんな意味を含んでいるよう。

「せーかいっ! すごーい、よくわかったじゃーん!」
「……まあ、『勘』ですよ」
「言葉遊びするよゆーもあるか。そーゆーこと。そんな状況に陥っちゃえば、潜在的な何かが覚醒して、一種のフルパワーモードに突入! ってこと。そのフルパワーモードを自由自在に発動するのが、第六感を操る才能、かな?」
「はあ……。例えは分かりやすかったけど、いまひとつ腑に落ちない気がしないでもないような、ですが」
「詳しくは私もイマイチなの」
「能恵さんには無いんですか、第六感」
「勘なんて不要よ」

 立ち上がって何かお茶受けを捜す能恵。その小さな背中をぼんやりとみながら、能恵の言葉を納得するように繰り返す。
 確かに能恵に勘は不要だろう。勘に頼らねばならないようなそんな状況に陥るはずは無いだろうし、それにそもそもそんな状況になったとしても、その場その場の証拠やかつての経験から最善の一手を見抜くから。純白能恵という存在は、添が知らないところでとてつもなく大きい。

 しかし第六感は羨ましい。センター試験の比喩から来る願望だったのかもしれないが、それは日常の様々なシーンに応用出来るだろう。主に勉強面で。
 あと、宝くじとかも素晴らしい。ロト6とか超直感で当たるのなら、金持ち路線まっしぐら。そんな煩悩を悶々と浮かべていた添に。
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