タレントアビリティ
「さっきの一件で分かったの。万引きするためには、店員がどこを見てるか、音を立てないようにどうするか、いかに鮮やかにバッグに運ぶか……。とまあ『単純に物を盗る』以上に、万引きって技術が必要みたいね」
「だろうけどさ……。それが第六感に繋がるかな……」
「うん。ほとんどを勘でやってる感じ?」

 トスッ、トスッと軽やかに。つまようじをコルクボードに刺しながら言う能恵。これも勘でやっているんだろうか。

「ばれてますよね?」
「そりゃそーよっ。どんなプロフェッショナルだって、何もかもをちゃきちゃきこなせるわけないのよ。こないだのアレだって面倒だったんだから」
「……自業自得ってやつですって、それは」
「知ったこっちゃないわよ」
「あ、じゃあ能恵さんも第六感を使いこなして万引きみたいなこと出来るんですか?」
「うーん……」

 珍しく鈍い反応だった。他人が使える才能程度なら、能恵だってさらりと出来るはずなのに。
 能恵は変わらずにつまようじを壁に刺しながら、そしてしばらく考え込んでから、諭すように添に言った。
< 94 / 235 >

この作品をシェア

pagetop