秘密の彼氏
「だ、だからなんなんですか!!!」
気づいたら声を荒げていた。
『うわっ、怖いな~。怒んないでよー?』
イライラする。
言い返せない自分が。
反抗できない自分が。
『そんなに怒るってことはさ、やっぱ今の事実でしょ?』
あたしを茶化すかのようにニコニコ笑う先輩。
「そんなッ――――・・・・・・
その時だった。
「憂?」
ビックリして振り返ると,不思議そうにあたしを見る進が立っていた。
「あ・・・」
「どうしたの?あんなに大声だし・・・
「ダメダメ彼氏きたーッ!!!!」
受話器からなんかじゃなく、窓の向こうから侮辱の声が飛んできた。
それはあたしの耳だけではなく、進の耳にも届いたようで・・・
「え・・・」
進もあたしと同じように窓の外を見て硬直していた。