秘密の彼氏


「憂・・・あの人達・・・」



「進・・・」



どうみても弱気な進は怖がっていて。




『あ~。また喧嘩になったら怖い拭石くんに殴られちゃうから、もう俺達行くね~?』


ヘラヘラ笑って、嵐のような先輩達は去っていった。



「「…」」




沈黙が続く。




「憂,そろそろ電車の時間だよ。」

「え…」

「先に行ってて??タクシー用意するから。あいつらには会わないし安全だろ?」


あたしの目を見ないで窓の向こうを見つめて進は話し続ける。


「なんで?進は…?」


あまりにもその表情が真剣で、あたしは嫌な予感がした。



「俺も後からいくから。」


「え…進も一緒に……」



「アニメ見てから行くっ」



やっと目を合わせてくれたかと思うと、
子供みたいな笑顔でそう言った。


その理由があまりにも馬鹿馬鹿しくて、あたしは拍子抜けした


「ア,アニメ?!」

「うん。今すごいいいところ。先輩達だって俺らに何する訳でもなかったし。
もう気にしなくていいじゃん」


ね?とあだめられ,あたしは渋々了解した。


「……わかったぁ」






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