姫と竜 *王子が誘拐*
一度呼吸を整えたアクトは ゆっくりと歩き出した。エリーゼは2、3歩後ろにさがり用意を伺う。
蒼く艶やかなドレスが、赤黒く血に染まり 今にもたゆれそうに儚くエリーゼはそこにいた。
「…言葉足らずだった。どうか許して欲しい。──兵もそなたも 我は、軽んじていたわけではない。信じて欲しい。」
エリーゼの瞳は疑心と共に揺れる。
「そんな目で見ないで欲しい。」
「……貴方がどう思おうと、どう考えようと私には関係ないわ。」
昼の間は開放されている渡り廊下に、冬の強く冷たい風が 吹き抜けた。
寒さに身を縮める。
アクトは駆け寄り 動けずにいるエリーゼを抱き締めた。