幸せな結末
「うん、大丈夫」

青ざめた顔で、美羽ちゃんが首を縦に振ってうなずいた。

「私…」

美羽ちゃんの目から涙がこぼれた。

「怖かった…」

泣きながら、美羽ちゃんが言った。

俺はそんな美羽ちゃんを抱きしめて、
「大丈夫、俺が美羽ちゃんを守るから」
と、ささやいた。

我ながら古典的なセリフだ。

けど、今の俺にはそのセリフしか浮かばなかった。

本当に、美羽ちゃんを守りたい。

ただそれだけだった。

「はい」

「ありがとう」

俺の手から、美羽ちゃんは紅茶を受け取った。

「さっきの人、元カレなの」

美羽ちゃんが言った。
< 148 / 172 >

この作品をシェア

pagetop