アリスズ
☆
アディマに支えられるように、景子は礼拝堂を出てきた。
膝が笑って、うまく一人では歩けなかったのだ。
前から誰か来る。
景子は、一瞬歩けなくなった。
驚いた顔をしたリサーが、駆け寄ってきたからだ。
彼は、景子を確認するや口を開こうとした。
「リサードリエック…今はいい。少し、二人にして欲しいのだが」
しかし、それをアディマは先に止めてしまう。
リサーは。
自分の主を、改めて見上げた。
そう。
リサーは、彼を見上げなければならなくなっていたのだ。
「わ…分かりました。我々が、朝使った控えの間が空いております…」
彼は、ごくりと何かを飲み込んだ気がした。
そして、脇へとよけるのだ。
前と違い、アディマの言葉には強い力を感じる。
神殿の途中から折れ、アディマはとある扉の前で足を止める。
ノッカーも叩かずそこを開けると──中には誰もいなかった。
これが、リサーの言っていた控えの間とやらか。
扉を閉めると、アディマは彼女をソファに座らせた。
そして、自分もその隣に、ゆっくりと腰を下ろしたのである。
景子はまだ、手に太陽の木の枝を握ったままだった。
その手に、そっとアディマが自分の両手を重ねてくる。
大きい、手。
景子の手が、見えなくなってしまうほど、彼の手は大きくなってしまったのだ。
何から、どう聞いたらいいのだろう。
最初から、不思議な人だった。
小さいのに、子供には見えなかったのだ。
再会して、改めてみたら──彼は、瞳の年齢に近い姿になっているではないか。
「18の誕生日が来たら…僕たちは旅に出るんだ」
アディマは、景子に優しい声で語りかけてくる。
「そして、19の誕生日が来るまでに、この神殿に徒歩で到着しなければならない」
彼の言葉は。
最初から、不思議で出来ていた。
アディマの話どおりだというのならば、あの子供の姿で既に18歳だったことになるのだから。
アディマに支えられるように、景子は礼拝堂を出てきた。
膝が笑って、うまく一人では歩けなかったのだ。
前から誰か来る。
景子は、一瞬歩けなくなった。
驚いた顔をしたリサーが、駆け寄ってきたからだ。
彼は、景子を確認するや口を開こうとした。
「リサードリエック…今はいい。少し、二人にして欲しいのだが」
しかし、それをアディマは先に止めてしまう。
リサーは。
自分の主を、改めて見上げた。
そう。
リサーは、彼を見上げなければならなくなっていたのだ。
「わ…分かりました。我々が、朝使った控えの間が空いております…」
彼は、ごくりと何かを飲み込んだ気がした。
そして、脇へとよけるのだ。
前と違い、アディマの言葉には強い力を感じる。
神殿の途中から折れ、アディマはとある扉の前で足を止める。
ノッカーも叩かずそこを開けると──中には誰もいなかった。
これが、リサーの言っていた控えの間とやらか。
扉を閉めると、アディマは彼女をソファに座らせた。
そして、自分もその隣に、ゆっくりと腰を下ろしたのである。
景子はまだ、手に太陽の木の枝を握ったままだった。
その手に、そっとアディマが自分の両手を重ねてくる。
大きい、手。
景子の手が、見えなくなってしまうほど、彼の手は大きくなってしまったのだ。
何から、どう聞いたらいいのだろう。
最初から、不思議な人だった。
小さいのに、子供には見えなかったのだ。
再会して、改めてみたら──彼は、瞳の年齢に近い姿になっているではないか。
「18の誕生日が来たら…僕たちは旅に出るんだ」
アディマは、景子に優しい声で語りかけてくる。
「そして、19の誕生日が来るまでに、この神殿に徒歩で到着しなければならない」
彼の言葉は。
最初から、不思議で出来ていた。
アディマの話どおりだというのならば、あの子供の姿で既に18歳だったことになるのだから。