アリスズ
☆
梅の着物を脱がせてたたんで、ゆっくりと寝かしつけて。
次は、菊の返り血の固まった袴を、着替えさせなければならなかった。
しかし、彼女の腰にはまだ刀が差してある。
おそるおそる。
景子が、それに触れると。
一瞬にして、菊の目が開いた。
その手は、しっかりと刀を押さえている。
それに、景子はびくっとした。
さっきまで、眠りの大底にいたように見えたのに。
「あ、えっと…着替えないと」
景子は、慌てて言い訳めいたことを口にした。
言い訳でも何でもないのだが、悪いことをした気になったのだ。
「くっ…」
菊は。
横たわったまま微かに呻いて、刀を鞘ごと腰から引き抜いた。
そして、自分の頭の上に置く。
直後。
すぅっ。
再び、彼女は大底まで戻ってしまったのだ。
あ、脱ぐのは協力してくれないんだ。
あははと、景子は苦笑した。
我が道をゆくお嬢さんだわ、と思いながら。
とりあえず着物と袴、それに足袋もへっぱがし、半裸の状態で毛布にくるんでおく。
着替えがないのだから、しょうがない。
次は、と。
景子は血で汚れた着物を見た。
これを、洗わなくちゃ。
血の汚れは水洗い、っと。
それを抱えて、景子は部屋を出た。
梅が目を覚ますのは、このもう少し後の出来事。
景子が、言葉の通じない苦労の末に洗濯を終え、着物を干して戻ってきた時のこと。
お昼前くらい。
やっと、やらなければならない仕事が終わって。
うー…目がしぱしぱ…す…る。
景子は、空き部屋の隅っこで、うつらうつらし始めた。
梅の着物を脱がせてたたんで、ゆっくりと寝かしつけて。
次は、菊の返り血の固まった袴を、着替えさせなければならなかった。
しかし、彼女の腰にはまだ刀が差してある。
おそるおそる。
景子が、それに触れると。
一瞬にして、菊の目が開いた。
その手は、しっかりと刀を押さえている。
それに、景子はびくっとした。
さっきまで、眠りの大底にいたように見えたのに。
「あ、えっと…着替えないと」
景子は、慌てて言い訳めいたことを口にした。
言い訳でも何でもないのだが、悪いことをした気になったのだ。
「くっ…」
菊は。
横たわったまま微かに呻いて、刀を鞘ごと腰から引き抜いた。
そして、自分の頭の上に置く。
直後。
すぅっ。
再び、彼女は大底まで戻ってしまったのだ。
あ、脱ぐのは協力してくれないんだ。
あははと、景子は苦笑した。
我が道をゆくお嬢さんだわ、と思いながら。
とりあえず着物と袴、それに足袋もへっぱがし、半裸の状態で毛布にくるんでおく。
着替えがないのだから、しょうがない。
次は、と。
景子は血で汚れた着物を見た。
これを、洗わなくちゃ。
血の汚れは水洗い、っと。
それを抱えて、景子は部屋を出た。
梅が目を覚ますのは、このもう少し後の出来事。
景子が、言葉の通じない苦労の末に洗濯を終え、着物を干して戻ってきた時のこと。
お昼前くらい。
やっと、やらなければならない仕事が終わって。
うー…目がしぱしぱ…す…る。
景子は、空き部屋の隅っこで、うつらうつらし始めた。