アリスズ

 ケイコは──命の光を見ることが出来る。

 アディマは、とても強く光っていると、彼女は言っていた。

 その光のように、彼女のおなかが光っているというのだ。

 ああ。

 叔母が、そこにいるというのに。

 アディマは、ソファに座るケイコに覆いかぶさるように抱きしめていた。

「ああ…なるほど、それがその娘の魔法とやらか」

 これまで、叔母は彼女の魔法について、問い詰めなかったのだろう。

 今頃、理解したようだ。

 そもそも。

 ケイコの魔法は、イデアメリトスとは根本からして違う。

 ただ、視るだけの魔法。

 自分から、働きかける魔法は持っていないのだ。

 それでも。

 こんな風に、イデアメリトスでさえ分からないことを、彼女は分かるのだ。

 素晴らしい魔法ではないか。

 命が。

 ケイコの中で、新しい命が息づいている。

 胸には喜びと同時に、側においておけない不安と寂寥でいっぱいになった。

「叔母上様…ケイコをよろしくお願いします」

 彼女から腕を離し、アディマは叔母を振り返る。

「だから、甘やかすなと…ちゃんと産まれるべき定めを持っているなら産まれるわ」

 甥に厳しい彼女は、そんなことを言いはするが──きっと、景子を守ってくれるに違いない。

 分かってはいるのだ。

 分かってはいるのだが、側についていられない、己の身がもどかしかった。

「時間を作って訪ねていくよ…」

 ケイコの方を振り返り、膝立ちになってその手に触れる。

「来なくていい」

 後方から、即座に厳しい声が飛ぶ。

「第一妃候補ですから、叔母上様は…ご機嫌伺いに参りますよ」

 ケイコの手を取り、ケイコの目を見つめながら、あらぬことを言い放つ。

 だが、愛する女性を前に、妃候補などという言葉を使ってしまった事に、アディマは気づいた。

 不快になっただろうか。

 ケイコを見つめると。

 彼女は、おかしそうに目を伏せながら笑ってくれた。
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