アリスズ
☆
みっともないけど。
景子は、観念した。
はいずって、ここから出るしかないようだ。
根っこにひっかけた足と、したたかにうちつけた膝と、身体に変な力をかけてしまったために、腰をやってしまったのだ。
両手と、わりと平気な方の片足で、自分の身体をずりずりと動かしていると。
「何をしている…」
フードを下ろした男が、そこにいた。
スレイだ。
「あ…いえ…あの…」
妊婦なのに、けつまずいて転んだ挙句、動けなくなりました──そんなこと、正直に答えられるわけがない。
馬は、ぶるるといななきながら、まだそこにいた。
「蹴られたのか?」
馬を見た後、表情を険しくしながら、スレイが問いかける。
「ちがっ…蹴られてません! ただちょっと…そのへんで…その…」
景子は、どんどん小さくなっていった。
「あ、あの…馬を出してもらっていいですか?」
このまま見られていると、恥ずかしくてはいずれなくて、景子はケールリの方へ、彼を向かわせようとする。
「俺には、お前を出した方がいいように思えるがな」
景子への言葉にも、ため息を混ぜてくれた。
「わ、私は自分で出られますんで…」
それに、ますます小さくなる。
スレイは、むっつりと不機嫌な表情に拍車をかけ、本当に嫌そうにはーっと息を吐き捨てた。
「いいか。手間をかけさせる時は、最小限の最短時間にしろ」
その息が終わる前に、景子は抱え上げられていた。
「………!」
驚くよりも先に、痛めたところに激痛が走って、顔をこわばらせる。
「助けて下さいと一言言えば、済む話だろう」
ざくざくと、スレイはジャングルの中を慣れた足取りで歩いてゆく。
うう。
迫力がありすぎて、気軽にそんなことを頼めない。
自業自得のバカなことをしたのだから、なおのこと。
だが、もしこれを見ていたのがアディマだったら、もう植物のところへ行かせてもらえなくなったかもしれない。
もっと気をつけなきゃ。
「すみません…」
抱えられながら、景子はしょんぼりぼりと反省するしかなかった。
みっともないけど。
景子は、観念した。
はいずって、ここから出るしかないようだ。
根っこにひっかけた足と、したたかにうちつけた膝と、身体に変な力をかけてしまったために、腰をやってしまったのだ。
両手と、わりと平気な方の片足で、自分の身体をずりずりと動かしていると。
「何をしている…」
フードを下ろした男が、そこにいた。
スレイだ。
「あ…いえ…あの…」
妊婦なのに、けつまずいて転んだ挙句、動けなくなりました──そんなこと、正直に答えられるわけがない。
馬は、ぶるるといななきながら、まだそこにいた。
「蹴られたのか?」
馬を見た後、表情を険しくしながら、スレイが問いかける。
「ちがっ…蹴られてません! ただちょっと…そのへんで…その…」
景子は、どんどん小さくなっていった。
「あ、あの…馬を出してもらっていいですか?」
このまま見られていると、恥ずかしくてはいずれなくて、景子はケールリの方へ、彼を向かわせようとする。
「俺には、お前を出した方がいいように思えるがな」
景子への言葉にも、ため息を混ぜてくれた。
「わ、私は自分で出られますんで…」
それに、ますます小さくなる。
スレイは、むっつりと不機嫌な表情に拍車をかけ、本当に嫌そうにはーっと息を吐き捨てた。
「いいか。手間をかけさせる時は、最小限の最短時間にしろ」
その息が終わる前に、景子は抱え上げられていた。
「………!」
驚くよりも先に、痛めたところに激痛が走って、顔をこわばらせる。
「助けて下さいと一言言えば、済む話だろう」
ざくざくと、スレイはジャングルの中を慣れた足取りで歩いてゆく。
うう。
迫力がありすぎて、気軽にそんなことを頼めない。
自業自得のバカなことをしたのだから、なおのこと。
だが、もしこれを見ていたのがアディマだったら、もう植物のところへ行かせてもらえなくなったかもしれない。
もっと気をつけなきゃ。
「すみません…」
抱えられながら、景子はしょんぼりぼりと反省するしかなかった。